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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第834回 2023.6/30

古文研究法151-2 山家集(西行)より:花にそむ心はいかで残りけむ 捨て果ててと思ふ我が身は

桜の花に憧れる心だけがどうして残ったのだろうか、あらゆる迷いや執着をすべて捨て切っと信じている私なのに。

N君:「そむ」は漢字で書くと「染む」で、「深く感じて心に染み入る」の意です。そこから派生して「憧れる」という意味が出てきたのでしょう。「捨て果ててき」の「き」は過去の助動詞。その活用はかなり特殊で「未然せ、連用×、終止き、連体し、已然しか、命令×」となっています。過去助動詞には「き」と「けり」がありますが、「き」は「自分が直接経験した過去の事実」を表します。ここでも「西行が浮世の執着を自分で振り切った」という直接経験の過去を語っているのですから「き」が使われています。「き」よりもよく使われる「けり」は「間接経験の過去」ということになっているそうです。聞いた話や他人事の過去は「けり」で表す、というわけです。なるほどなあ、と思いました。

Although I believe that I have abandoned every kind of bewilderment and grudge, I am still fascinated by cherry blossoms.  Why does the mind of adoring the flower linger on in my heart ?

S先生:第2文主語 the mind of adoring the flower「桜を愛でる心」に違和感があります。adore「憧れる」という単語の中に既に mind とか heart のような意味が含まれているので、ここは the adoration of the flower にしたい。この部分は英作文技術どうこうという問題ではなく、N君の中にある日本人的なキッチリした思考をそのまま英語にした場合にどうしても屋上屋を重ねる結果になってしまう、という本質的な問題なのです。日本人の中でも特にN君は物理数学の得意な理屈っぽい性格ですから、英語もその線でキッチリ書こう、としているのはよく分かります。しかしそのことが仇になって「屋上屋を重ねる、馬から落馬」的な英語表便に繋がっていまっているのです。今後N君は自身のその弱点を充分理解した上で英作文していく必要があります。

I have ridden myself of all my troubles and obsessions, I think, but why do I still so deeply love cherry blossoms ?