kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第873回 2023.8/8

最終回の総まとめ:約2年半873回に渡ってやってきた一大事業が終了しました。登場人物は3人。N君は数学物理の得意な高校2年生で、文系教科がダメダメな生徒です。いわゆる理系オタクとも言うべき生徒であり、理屈っぽくて人の気持ちが分からないし、分からなくていいというスタンスで生きています。しかし、現古漢+英語+日本史 の成績があまりにもひどいので、なんとかしたいと感じていました。そこでN君ははS先生に弟子入りすることにしました。S先生は80代半ばの老人で、昔は進学校の英語教員をしていました。文学や歴史にも造詣の深い人格者で、今は退職して悠々自適の生活をしています。S先生はN君の申し入れを受けることにしました。あの世へ行く前の最後の仕事として、N君のような若者を教え導いてみたい、と思ったからです。S先生は昔の教え子であるKにも声を掛けてこの事業の手伝いを頼みました。N君からみて10年上のK先輩は、今は京都大学理学部院生で、理学部なのに日本史オタクという変わった人物です。S先生・K先輩がタッグを組んで、理系脳に凝り固まったN君の考え方を「古典英作文+歴史放談」によってほぐしていき、今後のN君の豊かな人生を演出していこう、としました。本シリーズ全873回はその記録です。その内容をかいつまんでまとめておきます。

第1回           はじめに

第1~60回         長恨歌

第61~265回        源氏物語桐壺

第266~421回         源氏物語帚木

第422回           小括

第423~522回         小倉百人一首 + 歴史放談

第523~527回         The Saddest Day in my Life

第528~533回          聖書格言

第534回              小括

第535~872回          小西甚一先生著「古文研究法」例題

第873回           最終回の総まとめ

本シリーズの対象としては、当初、東大・京大・国立大学医学部を志望する理系の中高生・浪人生としていました。ノートを用意してもらって見開き2ページの「左に古典原文とその注釈」、「右にその英作文や単語熟語例文のメモ」を書いてもらって、必ず左右を音読する、という作業をやってもらえば、一日に一回分進んだとして2年半で一周することができます。小学校で一周・中学校で一周・高校で一周、合計3周してもらえば、文系教科全般の実力がかなりのレベルに達するであろう、と予想されます。本シリーズの対象者はもともと数学物理化学が好きなので、放っておいても興味にまかせて数物化の勉強を進めることが出来ます。しかし彼らは現古漢+英語+日本史 の勉強をやろうとしないので、毎日寝る前の30分を本シリーズ1回分に割いてもらいましょう、そうすればおのずと文系科目全般の底上げが達成されるであろう、と考えられます。本シリーズはそのような効果を企図して書かれました。

しかし本シリーズを書き上げた今「そのような受験対策という矮小化された目的のためだけに活用してもらうのはどうなのか?」という疑問が湧いてきたのです。小西甚一先生が古文研究法の「あとがき(第861~872回)」に残した名言を読んだ今となっては、「受験などは小さい」と思えるようになりました。我々が文系教科を勉強する理由は、受験のような小さな目的のためではなく、もっと大きな「人生を豊かにするという目的のため」なのです。873回を書き上げた今になって、そのことを明確に理解できました。近年、文部科学省が大学文系学部への予算を削減しようとしているらしいですが、それはとんでもない誤りです。文学歴史の中にこそ人生の滋味が隠されているのです。

したがって本シリーズの対象読者は受験生だけではありません。定年退職して毎日目標もなくダラダラすごしている高齢者、イジメに遭って学校や職場に行けなくなり自宅に引き籠っている若い人や中高年の方々、長患いをして入退院を繰り返し希望の持てない毎日を送っている人たち、仕事や子育てや介護に追われて息つく暇もなく真の癒しを求める現役世代の方々、、、、、そう、人生を豊かにしたいと願う全ての方々、が対象です。今日も一日、色々あった人・何もなかった人、そういう人々が夜中にポチッとPCのスイッチを入れて、本シリーズの一回分を読み、できればその内容をノートにメモし、さらには自分で辞書を引いて自分なりの注釈を一言加えて頂けるならば、筆者としてこれに勝る幸せはありません。その作業を続けるならば、あなたの人生は必ず豊かなものになっていく、そのことを私は保証致します。N君は若い頃の私自身であったことを今ここに告白して本シリーズを終了します。皆さまの人生に幸多からんことを !!

                       2023 夏 筆者(kn0617aa)しるす。