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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第723回 2023.3/11

古文研究法108-4 大鏡より:さて後ほど経て賀縁阿闍梨(あざり)と申す僧の夢にこの君達ふたりおはしけるが、この後少将はいたう心地良げなるやうにておはしければ、阿闍梨「君はなど心地良げにておはする、母上は君をこそ兄君よりはいみじく恋ひ聞こえ給ふめれ」と聞こえければ、(後少将)「時雨(しぐれ)とは蓮(はちす)の花ぞ散りまがふ なに古里に袂(たもと)(ぬ)るらむ」などうち詠み給ひける。

そうしてその後しばらく経って賀縁という偉い坊さんの夢にこの若殿2人がお出ましになったが、その時に後少将がゴキゲンな様子だったので、坊さんが「あなたはどうしてそんなに気持ち良さそうにしているのですか? 母上はお兄さんよりもあなたの方をより愛していたようですのに」と尋ねたところ、後少将は次の歌を詠んだ。「細い雨と蓮の花が入り混じって降るこの浄土の世界で私は今気持ち良く日々を送っているのに、どうして人間世界では私のために嘆き悲しんでいるのだろうか?」と。

N君:「など」「なに」は英語で言えば疑問詞 why に当たります。ここ最近の大鏡シリーズ4回分は、細かいことはさておき、話の筋だけは理解できました。短めの文でハッキリものを言う軍記物や、最近の言い方に近い江戸時代物は、なんとか理解できる気がします。すると、やはりキモは平安時代の王朝絵巻シリーズです。「主語や目的語が書かれることなく次々と変遷していく長い話、その話の筋をどうやって見極めるか」が問題です。古文が分からない、という漠然とした分からなさから一歩踏み出して、「平安時代の王朝モノが特に分からない」と自覚できたことは、僕の中では大きな進歩です。そしてこのことはおそらく僕だけでなく多くの中高生も同じだと思います。

After a while, the brothers appeared in the dream of an eminent priest named Gaen.  There the Lower General looked very fine.  The priest said to him, "Why do you feel so good ?  Your mother, who loved you more than your elder brother, is disappointed by the simultaneous death of you two.“ The Lower General composed a poem : "Why do people feel sad for my death in this world although I feel comfortable in another world where lotus flowers are falling like a fine rain ?"

S先生:第4文後半の by the simultaneous death of you two「あなた方おふたりがいっぺんに亡くなったので」が硬いです。ここは普通に that you two passed away at the same time と表現するほうが良いと思います。

After a while, a great priest named Gaen dreamed of the two brothers.  Seeing the Lower General in so good a mood, the priest said to him, "Why are you so happy ?  Your mother seemed to love you more than your brother."  The Lower General replied in a tanka, "I am living a happy life in this Pure Land where lotus flowers are falling as quietly as drizzling rains.  I can't understand why you are grieving over my death."

N君:先生の第4文の I am living a happy life は I live a happy life でもよいですか?

S先生:それもよい。普通は状態動詞は進行形にはしないものですが、このように進行形にすることで「今しあわせにやってます」という感じを強調することができます。

オリジナル勉強風呂Gu 第723回 2023.3/10

古文研究法108-3 大鏡より:その(後少将の)遺言を母北の方おぼえでおはしましければ、思ふに、人のし奉りてけるにや、枕返しなにやと、例のやうなる有様どもにしてければ、かへり給はなりにけり。のちに母北の方の御夢に見え給へり。いかにくやしくおぼしけむな。

その後少将の遺言を母はとりみだしてちゃんと聞き届けることができなかったので、きっと他の誰かが処置しちゃったんだろうけど、枕返しや何やかやと普通のやり方にしてしまったものだから、後少将は生き返ることができなかった。後少将はそのあと母の夢枕に立ったそうだ。どんなにか口惜しかっただろう。

N君:人が死ぬと死者が生き返らないように北枕にして寝かせる、という風習が昔からあって、これを「枕返し」と呼んでいます。枕返しは通常の処置であって、しないほうがおかしいのですが、後少将の死に際は前回のように特別な様子だったため、筆者は「枕返しがいけなかった」と主張しているようです。「人のし奉りけるにや」の部分が、ここ最近たびたび登場している「挿入句」になります。「え+否定語」は不可能を表します。さてこの後少将というのは藤原義孝で、百人一首No.50「君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな」を詠んだ人です。

Bewildered by his death, his mother could not understand his last words that he would come back to this world again.  I think someone held his funeral service in an usual manner that the dead should be laid with his head toward the north in order to prohibit his revival.  This is because the Lower General could not come back to life.  I hear that he appeared in his mother's dream.  He must have been very sad that he was unable to come back again to this world.

S先生:重大な誤りがありました。「A.  This is because B.」という言い方は「Aである、それはBだから」の意味です。それをN君の作文にあてはめて訳してみると「生き返りを防ぐ目的で北枕にした、その理由は後少将が生き返ることができなかったから」となって、明らかに原因と結果が逆になってしまっています。正しくは「北枕にしたから生き返らなかった」のです。したがってここでは This is because をやめて「Owing to this,」としてみてはいかがでしょうか。こうすることで「Aである、それのおかげでBとなった」という展開になります。

Upset by his death, she was unable to remember his last words that he would come back to life again by all means.  Following custom, someone must have laid him with his head toward the north, so that the Lower General could not realise his desire.  It is said that he appeared in his mother's dream.  You see how eager he was to come back to this world to see his mother again.

オリジナル勉強風呂Gu 第722回 2023.3/9

古文研究法108-2 大鏡より:後少将は年頃(としごろ)きはめたる道心者にておはしましけるを、生くべくもおぼえたまはざりければ、母上に申し給ひけるやう、「しばし法華経(ず)し奉つらむの本意(ほい)はべれば、必ず帰りまうで来(く)べし」とのたまひて、方便品(ほうべんぽん)を読み奉り給ひてぞ亡(う)せ給ひける。

後少将年来たいへんな仏道熱心な方であったが、とても助かりそうになかったので、母上に申し上げたことには、「もうしばらくこの世にあって法華経を読みたいというがありますので、きっとこの世に戻って参ります」とおっしゃって、法華経方便品を読みながら亡くなった。

N君:「としごろ」は大切な副詞で「ここ数年来」の意味。「本意」も大切な名詞で「宿願、最も大切な目的」のような意味です。「この歌の本意は、、、」という言い方がよくされているようです。

The younger general was a devout believer in Buddhism during his lifetime.  Aware of his own death coming soon, he said to his mother, "I shall be back to this world because I want to live for some more time and chant the Hokke sutra."  He died reciting the Houbenpon of the Hokke sutra.

S先生:第1文の時制について考えてみましょう。過去形で何も不都合はないように見えますが、、、、。今筆者が書いている時点から見て、後少将が死んだのは過去のこと。その過去よりも以前は、後少将はずっと熱心な仏道修行者だったわけです。このように考えると、ここは単純な過去時制ではなくて過去完了で書くべきではないか? という考え方も成り立ちますね。The younger general had been a devout believer in Buddhism during his lifetime.  のほうがよく感じが出ていると思います。第2文の I shall be back to this world 「きっと帰ってくる」の shall は強い意志を表していますね。第2次世界大戦の前半時点でフィリピンからオーストラリアへ退いたマッカーサー元帥が言った有名な言葉 ”I shall return.”  に使われた shall と同じ用法です。

The Lower General had been a pious Buddhist for long.  Realizing that he would not be saved from death, he said to his mother, "I will surely come back to this world again because I want to live here for some more time to recite the Lotus Sutra."  He passed away chanting the Hebeupon of the Lotus Sutra in a solemn voice.

オリジナル勉強風呂Gu 第721回 2023.3/8

古文研究法108-1 大鏡より:天延二年、もがさのおこりたるわづらひにて、前少将は朝(あした)に失せ、後少将は夕(ゆふべ)にかくれたまひしぞかし。一日がうちに二人の子を失ひたまへりし母北の方の御心地はいかなりけむ、いとこそ悲しう承(うけたま)はりしか。

天延2年、天然痘が流行したのに感染して前少将(兄)は午前に、後少将(弟)は午後にお亡くなりになった。1日のうちに2人の子を失った母親の御心はどんなだったろうか、(その話を筆者は)誠に悲しく承った。

N君:「もがさ」は「天然痘」、「北の方」は「高貴な男の奥さんの総称」です。今回は分かり易い内容でホッとしました。

On the same day in the second year of Tenen, the elder brother general passed away before noon and the younger brother general died in the afternoon because they were infected with smallpoxHow seriously did their mother feel sad ?  It is rare to lose two sons simultaneously, isn't it.  Hearing the news, I felt verry sorry for her.  

S先生:今回はN君の悪い所が出ました。そう、重くて硬いのです。第1文末にある because 節は重いので、分詞構文にして主節の前に持って来るのが良いと思います。つまり、On the same day in the second year of Tenen, infected with smallpox, the elder brother general ~ としましょう。第2文 How seriously did their mother feel sad ? も硬いです。そもそも副詞 seriously の意味は How の中に含まれているのですから、疑問文ではなくてもっと簡潔に How sad their mother felt ! という具合に感嘆文で表現する手もありますね。

Smallpox prevailed in the second year of Tenen.  The Upper General, who caught the disease, passed away on the morning of a certain day, and his younger brother, the Lower General, did on the afternoon of the same day.  How sorrowful was their mother who lost her two sons in a day !  I felt verry sorry for her to hear the news.

N君:先生の第3文は感嘆文のようですが語順は疑問文です。

S先生:感嘆文なので普通なら How sorrowful their mother was !  とすべきなのですが、their mother に関係代名詞がくっついて重くなったため後置した結果、いかにも疑問文のような語順になってしまった、というのが真相です。それほどに軽前重後は重要視される、ということです。それからいつも言っていることですが、第2文の a certain day が some day ではないことに注意をしておいて欲しいです。

 

オリジナル勉強風呂Gu 第720回 2023.3/7

古文研究法107-2 源氏物語手習より:(浮舟)「幼くはべりしほどよりものをのみ思ふべき有様にて親なども、尼になしてや見まし、などなむ思ひのたまひし。まして少しもの思ひ知りはべりて後は、例の人様ならで後の世をだに、と思ふ心深くはべりしを、亡くなるべきほどのやうやう近くなりはべるにやここちのいと弱くのみなりはべるを、なほ、いかで」とて、うち泣きつつのたまふ。

「子供の時分より私は色々な事情で悩んでばかりいる身の上で、親なんかも、この子は尼にしてみようかな、などと思い口にも出しておりました。まして分別がつくようになってからは、普通の人妻として生活するのではなくて尼になってせめて死後の世界だけは安らかに過ごしたい、と強く思うようになりまして、死期が近づいてきたからでしょうか健康も衰える一方ですので、やはりどうか私を尼にして下さい」と泣きながら言った。

N君:横川僧都の説得に対して浮舟が反論している場面。他人や自身のつぶやきが挿入句として3か所に出てくるので、それらを見逃さないようにして話の構成を追っていきます。「やうやう」は「だんだんと」、「ここち」は「健康状態」です。

Ukifune answered with tears in her eyes, "I have been distressed every day by various circumstances since I was a child.  My parents also said that it was rather good to make me a nun.  Therefore, as I got grown, I followed their opinion naturally.  Indeed I think that I want to become a nun and lead an uneventful life at least in the next world.  Now the moment for death is coming to me.  I know my health is being undermined day after day.  I feel sorry to disobey you, but I want you to let me leave this world all the same."

S先生:無理なく作文できています。最後のところの副詞句 all the same「それでもやはり」はあまりお目にかからない言い方ですが、ここでは適切です。

Ukifune said tearfully, "I have been worried about various affairs since I was a little girl.  My parents often said, 'Shall we make her a nun ?'  After I had come to realize the reason of this world, I seriously wanted to become a nun to live peacefully after my death, not to live my life as someone's wife.  Now getting weaker and weaker, I am being on the brink of death.  Please consider that the only way to save me is (to) make me a nun."

今日は早く終わったので久し振りに英作談義をします。今日のテーマは「起点を表す of」です。within ten minutes' walk from my house「家から歩いて10分以内で」で特に間違いではないと思いますが、この from を of に変えてもらったほうがよいです。そのほうが英語らしい感じがします。ついつい from を使いたくなる場面、たとえば、He came out from the house.「家から出てきた」や、She looked out from the window.「窓から外を見た」でも、from ではなくて of のほうが良いです。これらの of は「起点の of」というよりもむしろ「~から外へ」の意味で用いられます。またこれらの of の後は名詞とは限らず、out of indoors のように副詞が来ることもよくあります。of に限らず他の前置詞でも、from here,、from now on、until then など、そのような例はいくらでもあるので驚いてはいけません。

オリジナル勉強風呂Gu 第719回 2023.3/6

古文研究法107-1 源氏物語手習より:(横川僧都)「まだいと行く先遠げなる御ほどに、いかでかひたみちには思(おぼ)し立たむ。かへりて罪あることなり。思い立ちて心を起こし給ふほどは強く思(おぼ)せど、年月経れば、女の御身といふもの、いとたいだいしきものになむ」とのたまへば、、

「まだ将来の長い身で、そう一筋に出家出家と決心してよいものじゃろうか? それはかえって罪深いことじゃよ。出家を決心したての頃は強く思い詰めているけれども、年月が経つと女というものは罪深いもので、なかなか仏道には入りきれないものでしてな」と横川僧都がおっしゃると、、、、

N君:薫(かおる)と匂宮(におうのみや)の愛情の板挟みになって投身自殺を企てた浮舟が横川僧都(よかわのそうず)に救われて味気ない毎日を送っていたのですが、浮舟が自身の将来に絶望して僧都に対して「出家させてくれ」とせがみ、僧都がそれを考え直すよう説得している場面です。「しか」は「そのように」で、これまでの話の内容がここに凝縮されています。形容詞「たいだいし」は「罪深い」の意。

Yogawa-no-Sozu tried to admonish Ukifune for her rashness, saying, "Should it be good for you to make up your mind to become a priest though you are too young to give up your future ?  Inversely, I think it is a sinful resolution.  Instead of being firmly determined just after renouncement of the world, a woman will not be able to devote her life seriously to ascetic practices of Buddhism."

S先生:第3文前半 Instead of 以下の部分が意味不明です。この部分は「若いのに出家の決断を急いではいけないよ」という内容の文を独立させてみてはいかがでしょうか。たとえば、You, a young lady, should be reluctant to renounce the world. などとしてみるのも一法でしょう。その後は A woman will not ~ のまま別の文として続けるのが良いでしょう。

Yogawa-no-Sozu said to Ukifune admonitorily, "You are still so young.  Why do you want to become a Buddhist priest so earnestly ?  It is all the more sinful.  You might believe yourself a devout Buddhist when you have decided to become a priest.  But years pass by, women will fail to realize the teaching of the Buddha because they are sinful existence."

N君:先生の第3文 when 節は「もし将来出家すると決心してしまった時には」なので will have decided to do とすべき所を have decide to do としたのですね。

S先生:その通りです。副詞節の中での未来完了は現在完了にします。未来形を現在形で表すのと同じ理屈で、これまでも複数回出てきました。しつこいようですが例文を挙げておきましょう。We shall start right away if it has stopped raining.「この後、雨が止んでしまってからすぐに出ます」の後半は will have stopped ではなくて has stopped にしましょう、という話です。

オリジナル勉強風呂Gu 第718回 2023.3/5

古文研究法106-2 堤中納言物語より:姫君のいらへ給ふことは「思ひ解けば、ものなむ恥ずかしから。人は夢幻のやうなる世に、誰かとまりて悪しき事をも見、善きをも思ふべき」とのたまへば、若き人々おのがじし心憂がりあへり。

姫君が御返事なさったことには、「よくよく考えてみると決して恥ずかしいことなんかありません。人は夢か幻のような儚いこの世に、いったい誰がずっととどまって物事のよしあしを判断することなどできようか」とのことであった。それを聞いて若い女房たちはそれぞれに(この世は儚いものね、などと言って)嘆きあった。

N君:前回、右馬介の姫君へのアプローチを大輔の君が取り次いだ場面でした。大輔の君の報告を聞いた姫君が今回のこの回答を出した、ということなのですが、ちょっとピントがずれているし非論理的です。前回と今回の内容が意味的につながりません。ということでちょっとやる気を失いかけている僕ですが、長い道中にはこういうこともある、と気を取り直して英訳作業をやってみます。「ものなむ恥ずかしからぬ」の「ぬ」は係り結びによって打消し「ず」の連体形「ぬ」が使われた、と理解しました。副詞「おのがじし」は「それぞれ、お互いに、おのおの」の意で、これは結構よく見ます。

The Princess replied like a philosopher, "Pondering over the affair, I never have to be shamed into covering my face with the fan.  In this ephemeral world, who should be able to continue judging what is right or wrong, and, honorable or shameless ?"  Hearing her penetrating remark, the ladies-in-waiting sighed with each other over the evanescent world.

S先生:前回と今回の希薄なつながりを上手に回復させた英訳でした。構成について特に言うことはありませんが、第3文の penetrating remark というのはちょっとギョッとしました。「核心を衝いたセリフ」のような意味でしょうか。感じは出ていますが、moving words くらいの方が無難だと思いました。

The Princess said thoughtfully, "Thinking it over again and again, I don't think I have done anything shameful at all.  We are forced to live an evanescent world like a dream or a vision.  Who on earth can judge what is right or wrong ?"  Hearing her touching words, the ladies-in-waiting grieved with each other over the evanescence of this world.