古文研究法 あとがき 7:しかし日本の古典には、今の若い人たちが情熱を持って読みふけることのできるような作品が、残念なことにあまり多くはない。だから、いま無理に興味を持ちたまえ、とは奨めないつもりである。
N君:確かに今昔物語のように面白いのもありますが、源氏物語桐壺は女同志のいがみ合い・そねみ合いが主でしたし、帚木は男どもによる女性の品定め話でした。ハッキリ申し上げて僕はあまり面白いとは思えませんでした。
However, I cannot help accepting that there are few works in Japnese classics in which young people can be absorbed. Therefore I don't compel you to take an interest in classics.
S先生:第2文末の classics はちょっとくどいので them にしましょう。N君は本当は them にしたかったのでしょうが、それが young people を指すのか、それとも classics を指すのか、そこが不明瞭なので、あえて classics としたのでしょう。しかしそれは心配のし過ぎというもの。文脈から見てこの them が classics を指すことは明らかです。このように僅かの不明瞭さも避けようと作文するところが理系のN君の良いところでもあり、また悪いところでもあります。「ほどほど」ということを学びましょう。
But, to my great regret, there are few Japanese classical works young people are absorbed in reading with enthusiam. And so I won't force them to take an interest in them.
N君:先生の第2文に出た won't は「強い意志」ですね。
S先生:そうです。前半の them は「若い人」、後半の them は「古典の作品」であり、全体として「若い人達に対して古典に興味を持てと強要するつもりは決してない」という意味になります。