2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧
帚木184・185・186:(式部)「さて、いと久しくまからざりしに、もののたよりに立ち寄りて侍れば、常のうちとけ居たるかたは侍らで、心やましき物越しにてなむ会ひて侍る。ふすぶるにやと、をこがましくも、またよきふしなりとも思ひ給ひけるに、このさかし人…
帚木182・183:(式部の言葉続き)まいて君だちの御ため、はかばかしくしたたかなる御うしろみは、なににかせさせ給はむ。はかなし、くちをし、と、かつ見つつも、ただ我が心につき、宿世のひくかた侍るめれば、をのこしもなむ仔細なきものは侍るめる」と申せ…
帚木181: (式部の言葉続き)それは、ある博士のもとに、学問などし侍るとてまかり通ひしに、あるじの娘ども多かりと聞き給へて、はかなきついでに言ひ寄りて侍りしを、親聞きつけて盃もて出でて『わがふたつのみち歌ふを聞け』となむ、聞こえごち侍りしかど、…