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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第835回 2023.7/1

古文研究法151-3 万葉集より:桜田へ鶴(たづ)鳴き渡るあゆち潟 汐干(しほひ)けらし(たづ)鳴き渡る

桜田の方へ鶴が鳴きながら飛んで行く。あゆち潟は潮が引いたらしいな。餌を求めて鶴が鳴きながら飛んで行く。

N君:「けらし」は「けるらし」つまり「過去完了+推定」です。この形は百人一首No.2 持統天皇「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」にも出てきて第424回で検討しました。この歌は上句と下句で2回「鶴鳴き渡る」が出てきており、特異な感じを受けます。まだ技巧が発達していなかった頃の簡素かつ直接的な表現、ということで理解しています。

A group of cranes are flying ahead Sakurada with a scream.  The tide seems to have ebbed in the lagoon of Ayuchi.  They are to pick worms and shellfishes on the tidal flats.

S先生:第1文の ahead Sakurada は「桜田という目的地に向かって一目散に」のような意味ですが、ここでは「桜田かどうかは分からないが、どうやらそっちの方向に」という感じなので、in the direction of Sakurada くらいの方が適切でしょう。また第1文末の a scream 「金切り声」はちょっと違うと思うし、単数なのもおかしい。ここは cries くらいでどうでしょうか。第3文末の on the tidal flats「干潟で」は間違いではないですが少し硬い感じがするので on the shallows「潮の引いた浅瀬で」はいかがですか。

A flight of cranes are crying and flying toward Sakurada.  The tide seems to have ebbed in the lagoon of Ayuchi.  It is for worms and fishes that they are flying.

N君:先生の第1文 A flight of cranes are crying and flying「鶴たちの飛行が鳴いて飛んでいる」というのは変だと思います。

S先生:flight「一斉に飛び立つ鳥の群れ」です。また、主語が A flight of cranes という単数なのに are で受けているのも一見変ですよね。しかし caranes に引っ張られて is ではなくて are になってしまうような実例はいくらでもあるのです。厳密な文法法則から時に外れてしまうこともあるのです。

N君:先生の第3文の for は「~を求めて」というような意味ですか?

S先生:その通り。第832回に sleeves for a pillow「枕代わりの袖」が出ましたが、今回の for は「~を求めて」です。このように for は色々と使えて締まった文を作るのに役立ちますね。前置詞は使い方が難しいですが、上手に使うとグッと英語らしさが増してきます。この第3文の形式主語構文にも注目してほしいところです。今後N君もこういう形を使ってどんどん作文してもらいたいです。