古文研究法91-2 古今集より:夜を寒み衣雁金(かりがね)鳴くなべに 萩の下葉も移ろひにけり
夜が寒いので衣を借りなければならない季節になったが、雁も鳴き同時に萩の下葉も散ってしまったなあ。
N君:「夜を寒み」は「夜が寒いので」で、名詞+を+形容詞語幹+み です。前回も出ました。「雁金」は「鳥の雁」と「衣を借りる」とがかかった掛詞(かけことば)で、これは言われないと分かりません。「なべに」は「~と同時に」。「移ろふ」は「盛りの状態から衰退した状態に変化する」のような意味で、鮮やかな色が褪せる、葉が散る、のような時に使われます。
Winter has come. I cannot help borrowing clothes in order to keep the cold out. Hearing wild geese cry sadly and seeing the leaves of bush clovers fall down, I feel dreary.
S先生:第2文の cannot help ~ing「~せざるをえない」はここでは少し大仰です。I must borrow くらいで充分でしょう。第3文は「長い分詞構文とそれに続く短い主節」ということですが、こういう頭デッカチな英文をできるだけ書かないように気を付けて下さい。難しいことは何もなくて I feel dreary to hear wild geese cry sadly and (to) see the leaves of bush clovers fall down. とすればよいだけです。N君は第1文で「冬が来た」と書いていますが、どうでしょうか。私はまだ晩秋ではないかと思います。その方が歌として余情がありそうです。
The season has come when it is so cold at night that I must borrow heavy clothes. Geese have begun to honk and the leaves of the bush clovers have all fallen. It has become quite autumnnal.