2022-09-06から1日間の記事一覧
古文研究法6 源氏物語帚木(ははきぎ):もとよりさる心を交はせるにやありけむ、この男いたくすずろきて簀子(すのこ)に尻かけてとばかり月を見る。菊いとおもしろく移ろひわたりて、風に競(きほ)へる紅葉の乱れなど、あはれとげに見えたり。懐なりける笛取り…
古文研究法5 枕草子:火桶(ひおけ)、炭櫃(すびつ)などに手の裏打ち返し皺(しわ)おしのべなどしてあぶりゐる者、いつかは若やかなる人の、さはしたりし。老いばみうたてある者こそ、火桶の端に足さへもたげて、もの言ふままに押し擦りなどもすらめ。さやうの…
古文研究法4 蜻蛉(かげろう)日記:これより夕さりつかた「うちのがるまじかりけり」とて出づるに、心得で、人をつけて見すれば「町の小路なるそこそこになむ泊り給ひぬ」とて来たり。「さればよ」といみじう心憂しと思へども言はむやうも知らであるほどに、…
古文研究法3 徒然草:何事も入り立たぬさましたるぞよき。よき人は知りたる事とて、さのみ知り顔にやは言ふ。片田舎よりさし出でたる人こそ、よろづの道に心得たる由(よし)のさしいらへはすれ。されば世に恥ずかしき方もあれど、みづからもいみじと思へる景…
古文研究法2 讃岐内侍(さぬきないしのすけ)日記:暮るると等しく参り給ひてうち見まゐらせて「あないみじ、昼見まゐらせざりつるほどに腫れさせ給ひにけり」など言ひあはせらるるを、聞かせ給うて「何言ふぞ」と仰せらるれば、「昼のほどに腫れさせおはしま…