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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第538回 2022.9/7

古文研究法3 徒然草:何事も入り立たぬさましたるぞよき。よき人は知りたる事とて、さのみ知り顔にやは言ふ。片田舎よりさし出でたる人こそ、よろづの道に心得たる由(よし)さしいらへはすれ。されば世に恥ずかしき方もあれど、みづからもいみじと思へる景色かたくななり。よくわきまえたる道には必ず口重く、問はぬ限りは言はぬこそいみじけれ。

何事も不案内なふうをしているのが良い。教養の高い人は、知っている事だってそんなに知っているふうな顔で言うだろうか、いや決して言わない。田舎のほうから出てきた人が色々な芸道をよく弁えているようなふうの受け答えをするものだ。だから、そういう人は(こちらが恥ずかしくなるほどに)本当にすごく知っている人であることもあるのだけれど、当人自身でも自分のことをたいしたもんだと思っている様子が愚劣だ。自分の精通している道のことについては必ず口数が少なく、他人が尋ねない限りは何も言わないのが立派なのである。

N君:全く身につまされる話で、我が身を顧みてお恥ずかしい限りです。穴があったら入りたい、というのを英語でどう表現すればよいかと考えてみました。Reading this passage written by Yoshida Kenko, I am so embarrassed that I want to hide myself in a hole dug on the ground.  くらいでどうでしょうか。古文の勉強では「反語の【やは】」が出たので注意しておくべきです。

What counts is pretending to be unaquainted with everything.  The cultured does not make any arrogant remark even on what he is familiar with.  The uncultured from a country is liable to speak as if he were well informed about various arts.  In the latter case, it is true that we are surprised at his unexpectedly deep and broad knowledge, but we cannot help regarding him as ridiculous because we can sense his shallow pride in his way of thinking himself a great guy.  It is praiseworthy to seldom speak of the subject he specializes in.  Not to speak of that unless he is asked, is important.

S先生:N君の「穴があったら入りたい」の作文はこんなものでしょうが欧米人には分かりにくいでしょうね。さて徒然草の作文のほうはだいたい良いのですが細かい点が色々とあります。第1文の動名詞 pretending はこれでも悪くはないのですが、今の英語では to pretend と不定詞にするか、もしくは to も除外して pretend としてしまうほうが好まれるようです。All you have to do is (to) study hard.  のような例文を見たことがあると思いますが、このように原型不定詞が好まれます。第2文の助動詞は何気なく does を使ったのでしょうが、主語は The cultured「教養人」なので複数であり do とすべきでした。もっと言えば、ここは「決して~しようとはしない」という強い意志を表すべきところですから will を使うほうが良かったでしょう。ここに使われた形容詞 familiar は限定用法と叙述用法で意味が異なるので要注意です。a familiar sight「見慣れた光景」、He is familiar with German.「ドイツ語に精通している」。第3文の「片田舎出身」ですが from a country ではなくて from the country として下さい。ここは必ず定冠詞です。同じく第3文の be動詞が is になっていますが、主語は The uncultured で複数ですから are でなければなりません。第4文の It is true that ~, but ~ 「なるほど~ではあるが、実際は~だ」の構文を使ったのは良かったです。その文末の guy は俗語なので person に改めましょう。第6文では気持ちは分かりますが、文章の順序を少し変えて Not to speak of that is important unless he is asked.  とするのが普通でしょう。英語ではなるべく早めに結論を言うことが大切ですからね。

He who pretends not to know about anything is worthy of praise.  A cultivated won't show off his knowledge even if he knows well about something.  He who is from the country will talk big as if he were well versed in various arts.  He may be indeed very familiar with something, but the way he takes pride in himself makes us disgusting.  A man should be praised who won't say anything as to his speciality unless he is asked about it.

N君:第2文の won't は強い意志を表していると思いますが、第3文の will はどういう意味ですか?

S先生:第3文の will は習慣・性質を表していて「~するものだ」の意味です。ややこしいですね。一度でよいから辞書を引いて will のところをじっくりと読んでみて下さい。いままで見落としていたことがたくさん載っていますよ。

N君:第5文の who 以下は主語 A man に掛かっていると見ましたが、語順が変?

S先生:who の先行詞は A man ですが、このまま A man who ~ と書いてしまうと、短い述部(should be praised)に対してあまりにも主部が長くなって頭でっかちになってしまいます。英語は頭でっかちを嫌います。前軽後重の形にすべきなので who 以下を後置しました。このような例は今後も頻出すると思われるので慣れておきましょう。