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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第649回 2022.12/26

古文研究法72-1 更級日記:門出をしたるところはめぐりなどもなくて、かりそめの茅屋(かやや)(しとみ)などもなし。簾(すだれ)かけ幕など引きたり。南ははるかに野のかた見やらる

仮立ちして滞在したところは周囲の垣根などもなくちょっとした茅葺きの家で格子の板戸なんかもない。板戸の代わりにスダレをかけ幕などを引きめぐらしてある。南方は遠く野原がずうっと見える。助動詞「る・らる」は尊敬・自発・可能・受身ですが、ここでは可能でした。

N君平安時代には、旅立ちに際して方角の吉凶を考えて一旦別の所へ引き移りそこから改めて出発したそうです。この「一旦別所へ移る」のを「門出」と称したらしく、門出は言わば仮出発の意です。紫式部源氏物語」にあこがれる文学少女菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)が、地方から京へ登る道中のお話です。「めぐり」は「垣根」、「蔀」は「格子戸」です。

The house I stayed at temporarily in order to find the aupicious direction for this journey was a little one thatched with Kaya.  It didn't have any tasteful structure like a hedge and a latticed door.  A bamboo blind were hung down in place of a latticed door, and a cloth screen was pulled around.  A green field stretched out as far as I could see southward.

S先生:間違いではないが私の感覚とは少しずれている所が二つありました。参考程度に聞いて下さい。第1文末の a little one thatched with Kaya は立派な描写だと思いますが、屋根を葺いているのは茅に決まっているのだから、a little thatched one としてもよかったかもしれません。第4文 stretched out as far as I could see southward「南へ見渡す限り伸びていた」も立派な描写なのですが、副詞 southward が see を修飾しているのがちょっと違うように思えて、私なら stretched southward as far as I could see としたい。out の語感は as far as の中にすでに含まれているので、N君の作文のように out と as far as が同居していることにも少しの違和感があります。よって out を除外して southward をここに入れた後すぐに as far as へ持っていきたいのです。この southward は to the south でも良いでしょう。このあたりは正誤ではなく、ほとんど私の好き嫌いの話になってしまっています。

Before I left for the capital, I temporarily stayed at a small thatched house with no latticed door or a hedge around it to exorcize ill luck.  Instead of the wooden door were hung bamboo blinds and curtains.  A large field spread far to the south.

N君:先生の第2文はどうなっているんですか?

S先生:bamboo blinds and curtains という主部が重いので後置して副詞句を前に出した「軽前重後」の形です。N君も使って慣れていきましょう。