2022-03-07から1日間の記事一覧
帚木307・308・309:人柄のたおやぎたるに、強き心をしひて加えたれば、なよ竹のここちして、さすがに折るべくもあらず。まことに心やましくてあながちなる御心ばえを(女君の心中)「いふかたなし」と思ひて泣く様など、いとあはれなり。心苦しくはあれど(源…
帚木303・304・305・306:(源氏)「そのきはぎはをまだ知らぬ初事(うひごと)ぞや。なかなかおしなべたる列(つら)に思ひなし給へるなむ、うたてありける。おのづから聞き給ふやうもあらむ。あながちなる好き心はさらに慣らはぬを、さるべきにや、げにかくあば…
帚木301・302・303:障子を引きたてて、(源氏)「あかつきに御迎へにものせよ」とのたまへば、女はこの人の思ふらむ事さへ死ぬばかりわりなきに、流るるまで汗になりて、いとなやましげなる、いとほしけれど、例の、いづこよりとうで給ふ言の葉にかあらむ、あ…
帚木297・298・299・300:(源氏)「やや」とのたまふに、あやしくてさぐりよりたるにぞ、いみじくにほひ満ちて、顔にもくゆりかかるここちするに、思ひよりぬ。あさましう、こはいかなることにぞ、と思ひまどはるれど聞こえむかたなし。なみなみの人ならばこ…