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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第578回 2022.10/16

古文研究法30-1 枕草子:牛飼(うしかひ)はおほきにて髪あかがしらにて、顔の赤みてかどかどしげなる。雑色(ざふしき)随身(ずゐじん)は、細やかなる、良き。男(をのこ)も、なほ若きほどはさるかたなるぞ良き。いたく肥えたるは、ねぶたからむ人、と思はる。

牛係りは大柄で髪が赤ちゃけていて、赤ら顔で気の利いた感じなのが、良い。雑色随身はホッソリしたのが良い。男もまだ若いうちはホッソリしているのが良い。ひどく太ったのは、眠そうな人、と思われてしまう。

N君:「かどかどし」は「気の利いた」の意。ここは、かどかどしげなる、で終わっていますが、その後の「ぞ良き。」くらいが省略されているものと思われます。古文のこの傾向は全く困ったものですが、読んで慣れてくると察しがつくようになるから不思議です。次の「さるかたなる」は「そんな感じの体格の男」という意味で、これはすなわち前出の「ホッソリした体格の男」となります。

A man, who is tall, reddish in his hair and face, and sensible in everything, is suitable for the assignment of ox carriage.  It is agreeable for subordinates to be slender.  In general, it is nice to be slender for men who do not yet come of middle age.  If obese, he will be taken as a man who is always sleeping.

S先生:第1文の動詞 is はあまりにも断定的過ぎる気がしますので will be くらいに柔らかくしておきましょう。その述部にある the assignment of ox carriage「牛車の任務」はあまりにも硬すぎます。ここは will be suitable for driving an oxcart. くらいにしておきましょう。第2文の形容詞 agreeable には It is agreeable for 人 to do の形はありません。なんでもかんでも形式主語の構文が成り立つと思っているとしたら、それは大間違いなので、この機会に認識を改めておきましょう。この形容詞はたとえば The music was agreeable to the occasion. のような場面で使われますが、形式主語構文には馴染みません。よって第2文は It will be desirable that subordinates should be slender. くらいに変えましょう。全く同じ理由で第3文にもおおいに違和感があります。nice という形容詞は kind と同じで It is nice of you to say so. のように、It is nice of 人 to do. の形なら違和感はありません。ところがこの第3文では of you のところが 後置されて for you + 関係代名詞 という形になっていて、かなり不自然です。結局第3文は、In general, men who do not yet come of middle age should be slim. くらいに変えるしかないのですが、これも主部が重くてもう一歩という感じです。slim を使ったのは slender の反復を避けるためであり、これは英語でも日本語でも同じことです。気を付けておきましょう。第4文末の is always sleeping「いつも眠ってばかりいる」は原文と違います。原文は「眠たそうに見える」と言っているのですから looks sleepy くらいにするのが適切です。今日は良いところがありませんでした。まあこういう日もあります。腐らずに続けていくことが何よりも大切です。

It will be desirable that a coachman be a tall and smart man with red hair and a ruddy face.  Attendants and men engaged in chores should be slender.  A man still young also ought to be as slim as they are, because a very fat man may be taken as one who looks sleepy.

N君:S先生の第1文の that 節の中にある be は何者ですか?

S先生:実は be の前にあるべき should が省略されていて原形の be が残っている状態です。この形は難しく言うと「仮定法現在」と呼ばれるもので、たとえば It is natural that he think so. という文章において「何故 thinks でなくて think なのか?」という質問の答えにもなっています。should を書いても良いですが、省略して、動詞の原形を使うのが普通、という感覚です。

N君:同じく第1文で with red hair and a ruddy face の不定冠詞がどうなの? と思いました。

S先生:hair は不可算名詞なので不定冠詞を付けるわけにはいきませんが、face は可算名詞なので不定冠詞を付けた、という単純な理由です。多くの生徒は with red hair and ruddy face という具合に、後半の a を付け忘れるのではないでしょうか。ちなみに ruddy「血色の良い」の意味であり、reddy ではありません。

N君:reddy かと思ってましたがそんな単語はありませんでした。

S先生:ついでに言っておくと、私の第2文主部は Attendants 「随身」=A、men engaged in chores「雑色」 =B、ですが、原文ではBAの順なのに、作文では敢えてABの順にしたわけをN君は気付いていますか?

N君:いえいえ全く気付いてませんでした。もしかして、Bのほうが長いから後置した、ということでしょうか?

S先生:その通り。

N君:僕が全く気にしていない所まで神経が行き届いていて驚きました。そこまで考えて作るのですね。心を入れ替えないといけません。