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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第792回 2023.5/19

古文研究法136-1 更級日記より:八月ばかりに太秦(うづまさ)に籠(こも)るに、一条よりまうづる道に男車、ふたつばかりひきたててものへ行くにもろともに来(く)べき人待つなるべし、過ぎて行くに、随身(ずいじん)だつ者おこせて「花見に行くと君を見るかな」と言はせたれば、、、、

8月頃に私が広隆寺へお籠りに行こうと思っていた時のこと、一条通りから広隆寺へ参詣する道に男の乗った牛車 ー それは二つほど停めてあってどこかへ出かけるのに同行する人を待っているのだろうが ー の傍らを過ぎたところ、男車の主が私あてに家来をよこして「どこかへお花見へお出かけのようですね」と下句の letter をよこしてきたので、、、、 

N君:この文章は僕には解読不能でした。「はさみこみ(挿入句)」を見破ることができなかったからです。細かいことは抜きにしてとにかく「ふたつばかりひきたててものへ行くにもろともに来べき人待つなるべし」という長い部分が挿入句だと見破る必要があったのです。あまりにも長い! この文章は要するに、筆者(菅原孝標女)が路上で男に声を掛けられた話、だったのですね。「太秦」は今で言えば京都市の西にある映画村のある場所。すぐ近くに広隆寺があります。この寺は聖徳太子の頃からある古い寺で渡来人の秦河勝(はたのかわかつ)が建てたといわれています。ここには国宝第一号「弥勒菩薩半枷思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)」があります。「まうづる」は「参詣する」。「随身」は「家来」です。男が女性に声を掛ける時はこのように和歌の下の句を渡す、というパターンがあったのですね。なんかオシャレです。

When I was to confine myself to Koryu Temple for religious training in August, I happened to come across two ox-drawn carriages on its entrance path via the Ichijo Street.  One of the two Lords on the carriages, who I thought arranged to meet another companion, made his man hand me the second phrase of a poem : "You seem to go to see flowers somewhere."

S先生:構成としては立派なものですが細かい部分の間違いがあります。第1文の「広隆寺」には定冠詞が必要です。the Koryu Temple ですね。同様に the Meiji Shrine「明治神宮」、the Oxford Street「オックスフォード通り」と表記します。ところが何故か Oxford Street「オックスフォード街」なんですよね。通りのほうはギュッと絞り込まれた感じがあるので定冠詞が必要なのでしょうが、街のほうはボワーとしているので定冠詞がないのでしょう、私には分かりませんがそうなっています。同じく第1文の via「~経由で」がいけません。これは fly to London via Gerlin のように「あるポイントにタッチして」のような語感で使われるのです。ここでは「一条通りを経由して」ではありますが、これは「一条通りをズラズラ通って」の意味ですから via は不適切です。through くらいに変えるのが良いでしょう。第2文の使役動詞 made はもう少し柔らかく had にして依頼の感じを出してもよいでしょう。こうすると「~してくれと頼んだ」という意味になります。8月なのに花見とということは、桜ではなくて秋の花でしょうか。私の作文では autumn flowers にしました。

When I was going to the Koryu Temple to practice religeous meditation on a certain day in August, I came across two ox-drawn carriage on the way through the Ichijo Street to the temple.  One of the aristcrats, who I thought was waiting for his sweetheart to come, sent his man to hand me a letter with the second phrase of a poem, saying, "You are going to see autumn flowers (with your love) somewhere, I suppose."