kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第321回 2022.2/2

帚木98:(左馬頭の言葉続き)大事として、まことにうるはしき人の調度の飾りとする定まれるやうあるものを、難なくし出づる事なむ、なほまことのものの上手は、さまことに見え分かれ侍る。

けれどもね、そういう臨時の作り物ではなくて、真に大事な品物つまり本当に立派な格式の家の調度の装飾とするような物の場合は、しかるべき用途や定格があらかじめキチンと決まっているものですが、そういう物を規範どうりに狂いなく作り上げるということになると、それは生半可な小手先ではどうにもなりません。やはり本当の名人上手の手腕というものは、こういう品物を作らせてみると、はっきり分かります。

N君:But the innovate method will pass only as a method for making casual things.  In a truely important article, such as the decoration for furniture installed in a house of higher class, how to make it and how to use it are rigidly decided in advance.  It is difficult for a mediocre artisan to elaborate the traditional stuff according to the strict rules.  Mere cleverness will be of no use in the authentic situation.  We are definitely aware of the splendeid technique when we see some traditional masterpieces.

S先生:語法的にどこがおかしいという事は無く、大きく直す所もないのですが、全体的になんとなくぎこちなさ・硬さが残っていて、読み難い感じがします。ひょっとするとこれはN君の作文のせいではなくて、原文そのものの回りくどさから来るものかもしれません。私はこういう時は、思い切って細かい所を端折って訳すことにしています。その際にあまりに欧米的にやると無味乾燥になってしまうので、日本的な風合いを少し残すようにしております。

But when he makes some formal furniture for a higher class family, he must work according to the fixed rules.  He cannot make it with a bit of dexterity.  It is by the hand of a master that such a high-quality article can be made.

N君:dextral「右の」⇔ sinistral「左の」。dextrarity は「手先の器用さ」「知的な抜け目なさ」の意で、S先生の第2文は「ちょとやそっとの器用さで本格的な物は作れない」と言っています。

S先生:さて今日は早く終わったので久し振りに英作談義をしましょう。第318回で約束した「副詞apparently」 について考えてみましょう。さてN君は apparentlyというと「明らかに」というイメージを持つと思いますが、そのイメージを今日から棄てて下さい。「明らかに」もありますがむしろ「見たところ、聞いたところによると、どうも~らしくて」といったあいまいな意味で使われることのほうが断然多いのです。まったく同様に virtually に対してN君は「仮想的に」のようなイメージを持っていると思いますが、実際には「実のところ、正味の話が」の意で使われます。大修館のジーニアス英和辞典から例文を挙げてみましょう。Apparently he is a good suimmer, though I have never seen him swim.「見たことはないが彼は泳ぎが達者らしい」。We were virtually ready to start the ceremony.「はじめる準備は事実上できていた」。N君には apparently および virtually について辞書を引き、ノートにまとめておくことをお勧めします。その過程で「形容詞には限定用法・叙述用法があり、副詞には文全体修飾・用言修飾がある」ということを理解してほしいと思います。