kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第332回 2022.2/13

帚木120:(左馬頭の言葉続き)の中で(左馬頭の心中)『うちわたりの旅寝すさましかるべく、気色ばめるあたりは、そぞろ寒くや』と思う給へしかば、いかが思へると、気色も見がてら、雪をうちはらひつつ、なま人わろく、爪食はるれど、(左馬頭の心中)『さりとも、こよひ日ごろの恨みは解けなむ』と思ふ給へしに、火ほのかに壁にそむけ、なえたるきぬどものあつごえたる、おおいなるにうちかけて、ひきあぐべき物のかたびらなどうちあげて、こよひばかりやと待ちけるさまなり。

『宮中に泊まるというのも味気ないし、といって、なにやら気のおける女の所へ行くのも寒々しい気持ちがするし、で、そうだあいつはどうしているだろうか』と、様子見がてらに雪を払って行ってみることにしました。ああやって爪を食われるほどの大喧嘩をした女の所へ、のこのこ出掛けるのもなんだか体裁が悪いとも思ったのですが、でも『こんな夜に訪ねて行ったら、あの日以来のわだかまりも解けるに違いない』と、そう思いましてね、行ってみましたよ。そしたら、灯火をほんのりと壁のほうに向けて、もう寝所の支度がしてある。そこへやんわりとした、暖かそうな夜の衣が大きなにかぶせてあって、なにか炭火を入れて温めてあるらしいんです。しかも寝床をしつらえた帳台の垂れ絹は、いかにも私の入来を待っているかのように引き上げてある。向こうでも、今夜あたりは来るだろうと待っていたらしいんですね。

N君:気のおける女=気兼ねのある女=打ち解けていない女、の意です。気のおけない女=遠慮気兼ねしなくていい女、ということで、日本語は難しいです。昔、センター試験に出たことがあったそうです。

’It will be dreary to stay overnight in the Palace, and it will also be uncomfortable to visit a woman with whom I cannot yet talk in a familiar tone.'  Then I thought up dropping in at her house.  Making nothing of the deep snow, I decided to visit her partly because I wanted to know whether she was well off.  Although I felt it awkward to meet her again after my finger was injured in the terrible dispute with her, I expected that my sudden visit in this dreary night would thaw our ill feelings persisting from that day.  I tried visiting her.  To my surprise, I found the bed had been already prepared with the candle's faint light faced to the wall.  A soft nightgown which seemed completely comfortable were spread out over a large bamboo basket, in which charcal was apparently burnt to warm up the clothes.  Moreover, the drop curtain attached to the bar of the wooden fences around the bed was rolled up as if she were willing to invite me.  She seemed to be waiting for me that night.

S先生:ここ数回のN君の作文はいきいきとしてとても良くなってきています。私は、初めにN君の作文を添削した後で自分の作文をしていたのですが、そうすると知らず知らずのうちに、N君の作文に引っ張られているのを感じるようになりました。そこで時には、まず自分の作文をしてから、その後でN君の作文を添削するようにしています。それもこれも、N君の英語力がアップしている証拠です。今回のN君の作文もなかなか良い出来であまり言う事もないのですが、あえて3点だけ指摘しておきます。第3文末の名詞節 whether she was well off はちょっと違います。be well off は経済的な意味で「暮らし向きが良い」の意味であって、ここでは「達者でいるかどうか」を知りたかったのですから、get on くらいが良いのではないでしょうか。この場合、あとになにか良さそうな副詞を持ってくる手もありますが、いっそのこと whether を how に変えて、how she was getting on とするのがスッキリして良いと思います。こうすると「彼女がどうしているか知りたかった」となり、原文の意味を充分に伝えているでしょう。第7文冒頭の A soft nightgown ですが、一般に gown は女性・子供用のことが多いので、男性用ということで nightcloth としましょう。この語は普通は複数形で使われるので、不定冠詞を除外して Soft nightclothes とします。寝巻やパジャマの意ですね。同じ第7文の関係代名詞節の中で使われた副詞 apparently は、「明らかに」ではなくて「見たところどうも~らしくて」の意であって、非常に大切な単語です。N君の作文では in which charcoal was   apparently burnt to warm up ~ というように apparently が通常の位置にあり、これで良いのですが、しばしばこの副詞は、用言修飾というより文修飾という観点から、文頭に置かれることもあり、ここでも in which apparently charcoal was burnt to warm up ~ という手もあったと思います。話は変わりますが第5文の I tried visiting her. ではさっそく前回指摘した「try+動名詞」を使ってきましたね。「試しに訪ねてみた」の意ですね。「訪ねようとして頑張った」のなら try+不定詞 になります。

S先生:It would be dreary to stay alone in the Palace.  Yet it would be unsatisfying to visit a woman difficult to get along with.  So I decided to go to her to see how she was spending her days.  Clearing the snow, I made my way to her house.  Though I thought it unseemly to visit her nonchalantly after we had had such a terrible quarrel that resulted in her biting my finger, I told myself that her resentment would melt away if I called on her with a soft feeling on such a cold night.  Then I found that futon had been put down on the floor, a dim light turned toward the wall.  Soft nightclothes had been spread out over a big bamboo basket, warmed by a charcoal fire.  The silk curtains in the bedroom had been raised as if she were waiting for me to come.

N君:unseemly「みっともない」、nonchalantly「無頓着に、平然と」。第6文後半の a dim light turned toward the wall はおそらく独立分詞構文で、a dim light のあとに being が省略されているものと思われます。