kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第731回 2023.3/19

古文研究法112-2 堤中納言物語「ほどほどの懸想(けそう)」より:とりどりに思ひわけつつ物言ひたはぶるるも、何ばかりはかばかしきことならじかしとあまた見ゆる中に、いづくのにかあらむ、薄色(うすいろ)着たる、髪脛(かみはぎ)ばかりある、頭(かしら)つき・様態(やうだい)、何ともいとをかしげなるを、頭の中将の御小舎人わらは、思ふさまなりとて、いみじく成りたる梅の枝に葵をかざして取らす。

少年少女たちはそれぞれに気に入る相手を選んでは歌を詠みかけたり冗談を言い交したりするが、それでも多くはたいしたカップルはあるまいと思われているその中に、どこのお宅の召使い少女なのだろうか、薄いパステルカラーの着物を着て、髪は脛に届くほど長く、その髪型や身なりなんかも実に魅力的な娘がいて、その娘を、頭の中将にお仕えする付き人の少年が「こりゃ素敵だ」というわけで、たくさん実の付いている梅の枝に葵をくっつけて、恋の歌を添えてその娘に与えた。

N君:「髪脛」というのはスゴイですが、当時はそんなに髪の長い娘が普通にいたのですね。少女でも子供時代は皆「尼そぎ」といって短髪なので、このように髪の長い娘は、今の時代なら女子高生くらいの年代でしょう。ハイティーンですね。この文章は平安時代の若者の青春賛歌です。「思ひ分く」はここでは「(気に入る相手を)選ぶ」の意。「何ばかりはかばかしきことならじかし」は「多くはたいしたカップルはないだろう」くらいの意。「いづくのにかあらむ」は、いわゆる「はさみこみ」で、「どこの邸の召使い少女なのだろうか」という筆者のつぶやきです。「をかしげなる」と連体形で終わっている所が大切でこの直後に「少女」が省略されています。「思ふさまなり」は、少年から見て少女の風体が「申し分ない」「理想的だ」、の意。「いみじく成りたる梅の枝」には、少年から少女への恋の歌が結び付けられていたでしょう。「取らす」は「(少年が少女に)与えた」のです。書かれていないことが多くて理解するのに骨がおれますが、慣れてきたので少しずつ想像できるようになりました。

Every boy and girl chose his or her favorite partner, sent a waka, and exchanged a joke with each other.  Although I did not expect that there would be a fantastic couple, I was wrong.  Among them I discovered an attractive girl in a pale-pink kimono whose hair was long enough to reach her legs.  In which villa does she work as a servant ?  She is really fashionable !  A boy, an attendant serving Tou-no-Chujo, was so charmed by her that he gave her a love poem written on a strip of fancy paper which was tied to a fruitful branch of Japanese apricot.  It was stylish that an Aoi leaf was added to the branch.

S先生:少々説明的過ぎますが味わいもあって良いです。第3文の an attractive girl in a pale-pink kimono に使われた前置詞 in は「~を着た」の意味であって、この用法は今後もどんどん使って下さい。第3文末の leg は脚の意味であり、ここでは向う脛(むこうずね)ですから shins のほうが良いかもしれませんね。

Every boy and girl chose his or her favorute.  They were composing poems and making jokes with each other.  Though there seemed not to be a couple worthy of mention in particular, I found a girl, I wonder whom she was serving under, very charming.  She wore a soft colored kimono, her hair long enough to her shins and her hair style beautifully done.  Seeing the girl very attractive, a boy sewing Toh-no-Chujo, handed her a plum branch with a lot of fruit together with a love song.

N君:先生の第3文主節は I found a girl very charming. で、この a girl を説明するために、挿入句としての I wonder whom she was serving somewhere 「誰のもとで働いているんだか」が入り込んでいる、と考えてよいですか?

S先生:その通りですが、改めて見直すと、我ながらちょっと不自然な言い方かもしれませんね。

N君:先生の第4文後半は分詞構文と考えてよいですか?

S先生:独立分詞構文のつもりで書きましたが、ここもちょっとコテコテしていますね。