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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第671回 2023.1/17

古文研究法80-4 竹取物語より:つばくらめをあまた殺して見るだにも、腹に何もなきものなり。ただし卵(こ)産む時なむ、いかでか出すらんはらかくと申す。人だに見れば失せぬ。

ツバメをたくさん殺してみても腹には何もない。ツバメが卵を産む時 ー どうやって出すのでしょうか子安貝腹に抱えると申します。でも人がちょっとでも見ると子安貝は必ずなくなってしまうのです。 

N君:竹取のかぐや姫のフィアンセとして立候補した中納言石上麻呂(いそのかみのまろ)は「ツバメの産んだ子安貝」を手に入れようとしています。それができればかぐや姫と結婚できるのですから、気合も入ります。「つばくらめ」は「燕」のこと。「いかでか出すらん」の部分は挿入句となっています。古文ではこういう筆者のプライベートなつぶやきが突然登場するので面食らいますが、慣れるしかありません。「はらかく」は「燕が子安貝を腹に抱える」の意味。「人だに見れば」は「人がちょっとでも見るとすぐに」の意味。

Chunagon killed a number of swallows only to find no Koyasu-gai in their bellies.  I don't know the mechanism of how a swallow can conceive such a rare selfish, but it is said in an ancient tradition that a swallow holds the selfish in its stomach when it is pregnant.  And it is also said that no sooner a man tries to watch the selfish when it vanishes.

S先生:色々と問題があります。第2文の the mechanism of + how節 は間違いではないのですが恐るべき硬さであり、the mechanism of を除外して下さい。know の目的語として how 節を捉えれば何の問題もありません。同じく第2文の in an ancient tradition もくどい感じがするので除外するほうが良いでしょう。N君このあたりの感覚はさすがに理系の発想と申しましょうか、いかにも論理的で私には真似できません。あまりに論理的過ぎるのも英作文には差し障りがあります、やはり言葉ですからね。さて問題は第3文の that 節の中身です。no sooner a man tries to watch the selfish when it vanishes.「人が子安貝を見ようとするとすぐに消えてしまう」ですが、これは前回も述べたように、前節が過去完了形・後節が過去形というパターンが好まれるため、ここの現在形の文にはなじみません。ここは普通に As soon as we(you) try to watch the selfish, it vanishes. という構成が良いでしょう。ただし前軽後重の原則に従って The selfish vanishes as soon as we(you) try to watch it. とするのがより良いと思います。

Though Chunagon killed a lot of swallows, he found no cowries in their bellies.  When they lay eggs, how do they let them out ?  It is said that they hold cowries in their bellies.  But whenever we try to see them, they are gone out of sight.

N君:cowry あるいは cowrie「子安貝」は、大修館の辞書によると「昔アフリカやアジアで貨幣として用いた」そうで、けっこうキレイな貝だったのだろう、と思います。