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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第371回 2022.3/24

帚木207・208・209・210:(源氏)「これに、たらず、また、さしすぎたることなく、ものし給ひけるかな」と、ありがたきにも、いとど胸ふたがる。いづかたよりはつともなく、はてはてはあやしきことどもになりて、明かし給ひつ。からうじて今日は日の景色もなほれり。かくのみこもりさぶらひ給ふも、おほい殿の御心いとほしければ、まかで給へり。

「まったく左馬頭の言っているとおりの、足りないこともなくまた出過ぎたところもない、理想的なお人柄でいらっしゃるなあ、藤壺様は、、、」と、源氏は藤壺の比類なきすばらしさに思い至るにつけても、またぞろ胸が苦しくなるのであった。それから議論はどういう結論に落ち着くこともなく、やがてアヤフヤなところに落ちていって、いつしか夜が明けた。かろうじて明けの朝には空模様も持ち直した。こう長く宮中にのみ留まっているのも左大臣(源氏の舅)の心中を思うと気の毒な気がしたので、源氏はやっと退出することにした。

N君:「A, B+否定」のときに、BのみならずAも否定されている、ということが古文ではあります。これは「ならびの修飾」の一種なのでしょう。

He said to himself, "She has an ideal character, neither short nor excessive, like a favorable figure whom Samanokami has referred to."  No sooner had he thought of her incomparable magnificence than his love for her developed into a tight feeling in his heart.  After that, their discussion did not settled in a stable but an ambiguous conlusion, when the day broke.  The weather barely improved at dawn.  Genji felt pity for the Minister of the Left because he had stayed so long in the Palace that he paid few visits to the Minister's villa.  Finally he decided to leave there and visit his place.

S先生:最後の文は、はじめの he=源氏、あとの his=左大臣、ですね。

He said to himself, "As Samanokami says, she is a perfect lady who does not poke her nose into anything."  Realizing that she was incomparably elegant, he was again filled with a heartrending feeling for her.  The weather improved somehow in the morning.  Fearing that the Minister of the Left might feel it unpleasant that he had stayed in the Palace for so long a time, he finally decided to leave there.

N君:第2文の heartrending「胸を引き裂くような、悲痛な」です。

S先生:今日は和訳問題をふたつ用意したのでお付き合い願いましょう。ふたつともどうということのない文なのですが、難関大学ではこういうのが合否を分けます。

(1)  I can't even sit here talking to you the way I would like to.

まず「私はここに座ることさえできない」という主節があって、分子構文的に talking to you がくっついていると考えて「あなたに話しかけながら座っていることさえできない」となります。talk は自動詞ですね。さて、the way は接続詞のようなもので as 「~のように」と考え、これがさっきの分子構文にくっついていると考えましょう。the way の前に in が隠れていると考えてもよいです。最後の to のあとには talk to you が隠れています。こういうのを代不定詞と呼んでいます。「私があなたに話しかけたいように」=「話したいように」=「自由に」となるので、結局「ここに座って自由に君に話すことさえできないんだ」となります。

(2)  It's entirely up to the geisha herself.

be up to ~ 「~次第で」なので「そんなことは全く芸者さん次第なのですよ」➡「ことの成否は芸者さんがその気になるかどうかなんですよ」みたいな意味になります。単語を覚え熟語を覚えた受験生に、こういう(1),(2)のような出題をして「こなれているかどうか」を測ろうとしているのです。結局、「英語を勉強する」というのは「日本語を勉強する」ということに似ているんだなあ、とつくづく思います。