帚木3:まだ中将などにものし給ひし時は、うちにのみさぶらひようし給ひて、おほひとのにはたえだえまかで給ふ。
源氏がまだ近衛府の中将というような位にあった頃には、宮中に居るのだけを居心地の良いことに思って、妻の待つ左大臣邸には時々しか退出することがなかった。
N君:When Genji was in the grade of "The General of Konoe Office," he felt so comfortable just in the Palace that he hardly went back to the Villa of the Minister of the Left, where Genji's wife waited for him.
S先生:全体的に良いと思います。just in the Palace の just はなくてもよいですね。使い方の難しい hardly を上手に使えました。
When Genji was in a rank of the General of Konoe Office, he found it so comfortable to stay at Palace that he seldom visited the residence of the Minister of the Left where his wife was eagerly waiting for him.
N君:S+find+ it+形容詞+to do という形式目的語の構文がサッと浮かぶかどうかが key ですね。訳文の中に「~だと気づいた」とあれば find に結びつきますが、ただ単に「~であった」と言われた時に find を思いつくかどうか。さらに so ~ that ~ の構文も連立していて、これはかなりの訓練が必要な感じがしました。
S先生:そうですね。なんでもない日本語表現の中にその構文が潜んでいて、気付きさえすればお決まりの英語表現を作れるので便利です。逆に、英文としてこの表現を見た時に「~だと気付いた」と訳さずに「~であった」と訳すほうが良い場合がある、ということですね。
N君:なんか「言葉というもの」が少しずつ分かってきたような気がします。興味も湧いてきました。