kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第345回 2022.2/26

帚木143・144:(左馬頭の言葉続き)ただ時々うち語らふ宮仕へ人などの、あくまでざればみ好きたるは、さても見る限りはをかしくもありぬべし。時々にてもさる所にて忘れぬよすがと思う給へむには、頼もしげなくさしすぐいたり、と心おかれて、その夜の琴にことつけてこそ、まかり絶えにしか。

いえね、時々面白話をする程度の女房たちなどが、あくまでも洒落て色好みなのは、はじめからそのつもりで付き合うのですから、確かに面白いんです。しかしそれが、たとえ時々通う程度の女であっても、生涯忘れずに付き合おうと思う相手だったら、さあどうでしょうか。こんなふうに頼りがいもなく色めき過ぎた女は、どうも信用ならずイヤになります。で、この女についても、この事があってから、私はパッタリと通うのをやめてしまいました。

N君:左馬頭は、指食い女に死なれ、今また、美形だが showy な女の所へも通わなくなって、これからどうなるのか気になります。

Well, it is certainly interesting to talk with coquettish ladies-in-waiting about a suggestive story because I know relations with them are casual and temporary.  However, I doubt whether such a loud lady is appropriate for my lifelong wife or not, no matter how favoritely I pay visits to her.  Actually I don't believe such an unreliable and amorous woman.  Therefore I have stopped short to visit her since I experienced the happening that night.

S先生:第3文に使われている believe は案外使い方が難しく、その訳は、他動詞の場合と自動詞の場合で意味が微妙に異なるからです。他動詞の場合、I believe you.「君の言う事を信じる」の意味であり、一方自動詞の場合は、I believe in you.「君の人柄を信じる」となります。原文のこの場面では believe in のほうが適しています。第4文の副詞 short は「こんなことがあってすぐに」の意を表しています。

Well, those ladies with whom I sometimes talk frivolously are witty and sensual.  I know their level is not so high, but it is indeed fun to associate with them.  But even if they are ladies worthy of visiting from time to time, I doubt whether they are to be relied upon all my life.  I cannot trust an unreliable and amorous lady.  I rather hate her.  I knew all about that night.  And so I have decided not to visit her at all.

今日は比較的短く終わったので久し振りに英作談義をやりましょう。といっても何かテーマがあるわけではなくて、これまでいろいろなことを積み残してきたので、それらを集めた、いわば「アラカルト」ですね。

(1) 私が持っている本に、憲法第21条の英訳として次のように出ておりました。Article 21 : Freedom of assembly and association as well as speech, press and all other forms of expression are guaranteed.「集会・結社・言論・出版をはじめその他すべての表現の自由を保障する」。この文の主語は freedom だから be 動詞は当然 is でなければならないのですが、直前の forms に引っ張られて、ついつい are になっていますね。こういう事例は結構よく見ます。もともとの訳者が間違えたのか、それとも、本を作る時に出版社が間違えたのか、それは分かりませんが、とにかく間違っていますね。かなり以前に「1854日米和親条約の英訳文」の話をしたことがありましたが、あの場合は、スペルミスどころか、内容が和文と英文で異なっているというスゴイ実例を見ましたね。中原道喜先生の本に「誤訳の構造」というすごい本があります。これを読むと、英語のプロが信じられないような誤りを犯している実例が多数出ていて、面白いですよ。

(2) room を「部屋」ではなくて「余裕」と考えなければならない場面がたまにあることは、難関大学の受験生であれば常識でしょう。たとえば、Will you make room for me ?「席をつめていただけませんか」などです。

(3) give way to「道を譲る」でよいのですが、発展して「屈する」の意になることがあります。Don't give way to such an unreasonable demand.「不当要求に屈するな」  のように使います。yield や surrender と共に、単語帳に残しておきたい。yield というのは変な単語で「作物を産出する」と「人に権利を明け渡して自分は屈する」のようなふたつの意をもっています。おそらく「土地が我々に作物を与える」「自分が他人に権利を与える」ということで「与える」でつながっているのでしょう。辞書を引いて研究してみて下さい。

(4) follow は色々な場面に使える広義で便利な単語だが、自動詞と他動詞があってなかなか使い方がむつかしい。自動詞の場合は、After spring, summer follows.  のように使います。他動詞の場合は、Spring follows winter. あるいは、Winter is followed by spring. というように使います。どっちを主語にするのか迷う生徒が多い。

(5) 第5文型SVOC を作る動詞としては make が有名ですが、leave がこの形を作って「人を~の状態にして自分は死ぬ」という意味をなすことがあります。He left his wife a young widow.「彼は妻を若い未亡人にして死んだ」。受動態にすると、His wife was left a young widow.「彼の死で奥さんは若くして未亡人となった」。 a young widow の 前に as とか to be とかを置きたくなるのですが、不必要なのです。

(6) なんとなく「of+抽象名詞」=「その形容詞形」と考えている人が多いと思います。たとえば、of importance = important とか、of beauty = beautiful とかです。その理解は一概に間違いではありませんが、「of が無い時は抽象、of が付くと具体」と捉えてみてはどうでしょうか。Art is beauty.「芸術は美(そのもの)である」は抽象。This picture is of inexpressible beauty.「この絵は口では言い表せないくらい美しい」は具体。

(7) as には前置詞・関係代名詞節・接続詞があって、英単語の中で最も扱いが難しいとされています。ここではそのほんの一例を紹介しましょう。regard A as B「AをBとみなす」はおなじみの熟語ですが、ここで使われた as は完全な前置詞ですね。the same A as B「B(の時と)同じA」という言い方もよく見ますが、この as も前置詞でしょう。He has given the same answer as last time.「最後の時と同じ返事をもらった」。しかし後半のB部分にSVが来る場合もあります。He has given the same answer as she gave last time.  のような場合で、この as は that に変えてもよくて、関係代名詞です。つまり、SVがないなら常に as でこれは前置詞。SVがあるなら as でも that でもよくてこの as は関係代名詞。普通は、same が前置詞as を引っ張ってくるのでしょうね。このほかにも前置詞の as を用いた色々な言い方があるので、思いつくままに紹介しておきます。the population as of May 1「5月1日時点での人口」。His argument is more conservative as against mine.「私の主張と比べて」。As for the doctor, you can trust him.「あの先生に関する限り」。He said nothing as to the matter.「その件については」。前置詞ではありませんが、I cannot agree with you as regards that.「それについては」というのもあります。これは concerning~、as far as~、~is concerned  などと同じですね。

(8) Half of the apples are rotten.「リンゴの半分は腐っている」の of はあってもなくてもOKです。しかし the apples の部分が代名詞になったらどうか? 英字の経済新聞を読んでいたら、The average closing price was less than half of that recorded. という文に出会いました。「平均終わり値は、これまでに記録された平均終わり値の半分以下だった」の意と考えられますが、ここで half のあとの of を省略してもよいか、考えて下さい。half that はどう見てもおかしいです。意味の上からどうこうではなくて、形の上から見て half of that とすべきでしょう。もしも人称代名詞なら half of them です。

(9) 「はやくも~には」は as early as で表します。辞書には As early as the 17th century, Newton dreamed of an artificial satrllite.「早くも17世紀にはニュートン人工衛星を考えていた」という例文が出ていました。これに対して as late as 「~になってもまだ」というのもあります。As late as 1939, many people thought war could be avoided.「1939年になってもまだ、多くの人は戦争を避けられると思っていた」。as early as や as late as のあとには時期を示す年号などが来ることが多く、ついつい in を付けたくなりますが、それは不要です。in の働きは、as early as や as late as の中に既に備わっているからです。

(10) put an end to ~「~に終止符を打つ」を使った Kennedy の有名な格言を紹介しておきます。Mankind must put an end to war, or war will put an end to mankind.