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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第580回 2022.10/18

古文研究法31-1 大鏡:無きこと(無実の罪)によりてかく罰せられ給ふを、かしこくおぼし嘆きて、やがて山崎にて出家(すけ)しめ給ひて都遠くなるままに、あはれに心細くおぼされて「君が住む宿の梢をゆくゆくも 隠れるままに返り見しやは」。

無実の罪でこのように処罰をお受けになるのを、道真公はたいそうお悲しみになり、そのまま山崎で御出家になって、都が遠くなるにつれてしみじみと心細くお感じになって、歌を詠んだ。「天皇のお住まいあそばす御殿の庭木の梢を遠去かって行きながらも、隠れて見えなくなるまで振り返り振り返りしたことです」。

N君菅原道真が京から大宰府へ落ちていく途中の駅で歌や漢詩を詠んだ、というお話です。形容詞「かしこし」は「畏れ多い」のような意味ですが、この文章のように連用修飾の形で使われた場合には「単に物事の甚だしさを強調する働きだけになってしまう」という側面があるので、訳文としては「たいそう、ひどく」のようになってしまいます。たとえば「ばかに遅いなあ」などと言った時、「馬鹿」という意味はなくなっています。このことは古文研究法の中に小西先生が書いておられました。副詞「やがて」はこれまでも出てきたように「そのまま、すぐに」の意味です。「出家せしめ給ひて」の「しめ」は使役かと思っていたのですが、尊敬を表しているそうです。歌の冒頭にある「君」は「あなた」ではなくて「天皇」です。歌の末尾にある「やは」は反語かと思っていましたが、詠嘆を表しているそうです。反語~疑問~詠嘆 は微妙に移行し合っているようです。

Lord Sugawara-no-Michizane grieved very much over having been blamed for a false crime.  As soon as he arrived at Yamasaki, he renounced the world and became a priest.  As he went apart from Kyoto, he felt very helpless and composed a poem : "While getting away from the capital, I looked back frequently at the branches of the trees which grew in the villa the Emperor habited until they could not seen."

S先生:第2文で「出家する」を renounce the world と表現したのは新鮮でしたが、こういう言い方が一般的なのかどうか私は知りません。歌の中の which grew は省略可ですね。また habited はあまり使われないので lived in に変えるほうが良いと思います。live と違って habit は他動詞なので in のような前置詞は不要になる、ということが文法的にはちょっと大切かと思います。

Lord Michizane was very grieved by having been punished for a false charge.  Soon after that he became a priest at Yamasaki.  As he walked away from Kyo, he began to feel more and more lonely and composed a poem : "While I was leaving the Capital far behind, how often I looked back at the tops of the garden trees at the Palace where His Majesty lived until I could not see them !"