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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第216回 2021.10/20

桐壺156:こよなう心よせ聞こえ給へれば、弘徽殿の女御、またこの宮とも御なかそばそばしきゆゑ、うちそへて、もとよりの憎さも立出でて、ものし、とおぼしたり。

源氏が藤壺に好意を寄せれば寄せるほど弘徽殿女御の方では、もともと藤壺のことをこころよからず思っていたので、その上に亡き桐壺への憎しみも立ち添うて、不愉快千万に思うようになった。

N君:「またこの宮とも御なかそばそばし」の宮は藤壺を指しています。先帝の4番目の娘ということで、以前は四の宮と呼ばれていましたからね。

From the beginning, Kokiden-no-Nyogo regarded Fujitsubo as a woman standing in her way.  Therefore, the more Genji expressed his favor to Fujitsubo, the more Kokiden-no-Nyogo came to hate them, partly because her previous grudge against the late Kiritsubo piled up on this bad blood to them.

最後のところの bad blood は ill temper と同じような意味で「悪感情」です。blood にこういう意味があるとは知らなかったのですが、最近ある推理小説を読んでいたらこれが出て来たので使ってみました。それは日本の女性作家である桐野夏生さんが書いた「OUT」という殺人事件の小説を Stephan Snyder という人が英訳した本で、内容はもちろん面白かったのですが、それ以上に英語の勉強になりました。

S先生:第1文の as a woman standing in her way は正誤は抜きにして「わがままを通す人」という感じが出ていてなかなか味のある表現です。第2文の expressed ですが「好意を寄せる」という日本語から考えて、好意をあらわにするよりも内に秘めた感じがあるので held にしてはどうでしょうか。最後のところの bad blood については私もこういう言い方があるとは知りませんでした。辞書には、She made bad blood between them.「不和の種をまいた」という例文が出ていました。she が悪感情を持ったわけではなくて、them の間に渦巻く悪感情を she が作り出した、という意味でしょう。

From the beginning the Lady of Kokiden regarded the Lady of Fujitsubo as an uncongenial woman.  Consequently, the freindlier Genji was to her, the more displeased she felt, and at the same time her hatred for the late Kiritsubo was brought back.

N君:uncongenial「性分の合わない」。第2文には女性が3人出てきます。最初の her は藤壺、次の she は弘徽殿、その次の her も弘徽殿で、最後に故桐壺が固有名詞で登場します。