2021-05-10から1日間の記事一覧
桐壺119:いみじきもののふ、あたかたきなりとも、見てはうちゑまれぬべきさまのし給へれば、えさし放ち給はず。 さすがに荒くれの武士でも、仇敵であったとしても、この君を見ては、ついつい口元が綻ぶというほどのかわいらしさゆえ、さしもの弘徽殿女御ま…
桐壺118:(帝)「今は誰も誰もえ憎み給はじ、母君なくてだにらうたうし給へ」とて、弘徽殿などにも、わたらせ給ふ御ともには、やがて御簾のうちに入れ奉り給ふ。 「こうも美しく聡明な若宮をもはや誰も憎むということはあるまい。なにしろ母君を亡くされてい…
桐壺117:七つになり給へば、ふみはじめなどせさせ給ひて、世に知らずさとうかしこくおはすれば、あまりおそろしきまで御覧ず。 読書始めの儀を執り行なわさせて学ばせてみると、これがまた世にたぐいないくらいに賢い子であった。帝は、この子があまりに聡…
桐壺116:今はうちにのみ侍ひ給ふ。 若宮は7歳になった。今は内裏にのみ過ごしている。 N君:The Prince, seven, now led his life only in the Palace. S先生:The young Prince, now seven, lived only at Court. 今日の英作談義は「dare や need は動詞な…
桐壺115:年ごろ慣れむつび聞こえ給ひけるを、見奉り置く悲しびをなむ、かへすがへすのたまひける。 亡き祖母はいまわのきわにになるまで年来ずっと慣れ親しんできた孫君だったのに、こうして後に残して先立つことの悲しさを繰り返し繰り返し言い残したこと…
桐壺115:年ごろ慣れむつび聞こえ給ひけるを、見奉り置く悲しびをなむ、かへすがへすのたまひける。 亡き祖母はいまわのきわにになるまで年来ずっと慣れ親しんできた孫君だったのに、こうして後に残して先立つことの悲しさを繰り返し繰り返し言い残したこと…
桐壺114:みこ六つになり給ふ年なれば、このたびはおぼし知りて恋ひ泣き給ふ。 さすがに六つともなれば、祖母の死もわきまえ知る年ごろで、この度の別れのことは聞き知って焦がれて泣いた。 N君:Now that he became six and could know the meaning of his …