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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第198回 2021.10/2

桐壺138:(典侍から帝への言葉つづき)ありがたき御かたち人になむ」と奏しけるに、「まことにや」と御心とまりて、ねんごろに聞こえさせ給ひけり。

本当に世にも珍らかなほどの美しい方でございますもの」と申し上げると、帝も「本当だろうか」と御心を留められ、懇篤に御母后にお願いしたのであった。

N君:It is rare to see such a wonderful woman as she."  Then He was interested in the information and tried to politely make a contact with her mother.

S先生:第1文では as she なのか as her なのか悩みそうなところです。中原道喜先生は聖文新社「新英文読解法」の76~78ページで as を取り上げて「小兵ながら英単語随一の技の使い手」と評して解説してくれています。もし as が前置詞なら her なのですが、ここの as は実は関係代名詞なので she が正しい。ただし大修館の辞書によると「実際には her が使われることもある」そうで、文法的な正しさだけで押しまくるわけにもいかないようです。さて問題は第2文です。196回でも解説したように、try to 不定詞「まだやってない」、try 動名詞「もうやった」でした。ここでは帝は「試しにお願いしてみた=もうやった」のですから動名詞のほうが良いのですが、副詞politely の存在が厄介です。不定詞を使うなら分離不定詞という形があるのでN君の作文で良いのですが、前述のように不定詞は今は不適です。そこでいっそのこと、tried to politely make a contact with her mother のところを総替えして、politely asked the Empress to have Him see her daughter として「第四皇女に会わせてもらえるように母后にねんごろにお願いした」という具合にしたらどうでしょうか。

Indeed, she is the most beautiful lady that I have ever seen."  Wondering if she might be right, He asked Her most courteously to have the fourth Princess sent to Him.

さきほど as の話をしていて関係代名詞のことが出て来たのでついでに話しておきます。私の第1文に関係代名詞that が出てきており、参考書などでは「先行詞に最上級があるから who ではなくて that」などと書いてあるためにN君も無批判に覚えているのではありませんか? 最上級に限らず、先行詞にいろんな飾りがついている時は(特に人以外の時は) that が好まれます。ただし絶対ではない。実際には、いろんな飾りがついていたとしても、人以外なら which, 人なら who が使われることはあります。実際上のゆるい決まりを金科玉条のようにとらえてはいけません。こういうことは日々の生活のなかでもよく経験することであり「ものの軽重をよく考えよ」ということですね。

N君:as についてその品詞と用法の整理をする必要がありそうですね。その流れで「先行詞に such がくっついている時の関係代名詞は as 」という具合に理解しておけばよいのでしょう。かなり高級なことになってきました。have+帝+see(原型)+第四皇女、have+第四皇女+sent(過去分詞) to +帝 の形が面白い対比になっています。僕はこの have をゆるーい使役動詞と理解しています。have のかわりに get が使われているのを見たことがあります。