2021-08-29から1日間の記事一覧
帚木88・89・90:(左馬頭の言葉続き)余りむげにうちゆるべ、見放ちたるも、心安くらうたきやうなれど、おのづから軽き方にぞ覚え侍るべし。つながぬ舟の浮きたるためしもげにあやなし。さは侍らぬか」と言へば、中将うなづく。 といっても、あまり単純に夫を…
帚木86・87:(左馬頭の言葉続き)すべて、よろづの事なだらかに、怨ずべき事をば見知れるさまにほのめかし、恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば、それにつけてあはれもまさりぬべし。多くは我が心も、見る人から収まりもすべし。 だから全ての事はひた…
帚木84・85:(左馬頭の言葉続き)また、なのめにうつろふ方あらむ人をうらみて、けしきばみそむかむ、はたおこがましかりなむ。心はうつろふかたありとも、見そめし心ざしいとほしく思はば、さるかたのよすがに思ひてもありぬべきに、さやうならむたぢろぎに…
帚木82・83:(左馬頭の言葉続き)絶えぬ宿世浅からで、尼にもなさで尋ねとりたらむも、やがてあひ添ひて、とあらむをりもかからむきざみをも、見過ぐしたらむ中にこそ、契り深くあはれならめ。我も人もうしろめたく心おかれじやは。 また、家出したけれど、な…