桐壺89:(帝)「故大納言の遺言あやまたず、宮仕えの本意(ほい)深くものしたりし喜びは、かひあるさまにとこそ思ひわたりつれ。
「それにつけても彼女の父、故大納言の遺言を違えずに、ああして宮仕えの志を固く守って入内させてくれたその返礼として、なんとかしかるべき位にもつけてやりたいと思ったものだが、、、。
N君:The Emperor said, "Kiritsubo followed the firm will of her father, the late Dainagon, and kept her mind to serve as a court lady. I had meant to give her a decent aristocratic grade in turn for her admirable service・・・,
S先生:mean to do「~するつもり」は intend to do ほどではないにしても意志を表していて、これが meant to do とか had meant to do になると「~するつもりだったけどいろいろあって出来なかった」の意になるので大切な言い方です。ところで give の目的語になっている a decent aristocratic grade はあまりにも説明的なので a proper rank くらいでどうですか。
The Emperor said, "Her mother was polite enough to send Kiritsubo to Court, keeping the will of her father, the late Dainagon. To show my gratitude, I had meant to put her to a proper rank・・・.
N君の作文と私の作文は根本的な解釈が異なっています。桐壺を入内させてくれたのは母君ですから、帝が位を授けようと思った相手は桐壺ではなくて母君であると私は思います。つまりN君の作文では give her の her が桐壺になっているのに対して、私の作文では put her の her は母君です。