kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第129回 2021.7/25

桐壺69:(母君つづき)生まれし時より思う心ありし人にて、故大納言いまはとなるまで『ただこの人の宮づかへの本意(ほい)必ずとげさせ奉れ。

桐壺は生まれた時から親としてこの子こそはと期待をかけていた娘でして、亡くなった夫もいまわのきわまで『この娘を宮仕えさせる願いを必ず叶えておくれ。

N君:母君=桐壺母=故大納言妻 が 命婦=帝の使い に対して話している会話文の中に、故大納言のセリフが入り込んでややこしいことになっています。本意(ほい)はここでは「心の底からの願い、宿願」のような意味で使われていますが、和歌の世界で使われる本意には特別な意味があります。春に大風が吹いたり激しい雨がザーザー降ったりすることは実際あるわけですが、「春の日というのはのどかでポカポカと暖かく、たとえ雨が降ったとしても細く静かに降りますよね」という定型が日本にはあります。このように「いまから歌を詠もうとする対象が本来そうあるべきという姿」を「本意」と呼んでいます。和歌における本意思想というのはメチャクチャ大切らしい。大学で国文学をやってる先生から伺ったので間違いありません。

We --- I and my late husband --- expected that Kiritsubo would become an elegant lady when she was born.  Even facing his death, he repeated to say as follows : 'Definitely  realize my wish that we would make her climb up the aristocratic stairway at Court.

S先生:命令文の Definitely realize ~ ですがやや不自然な感じをうけるので、たとえば Never fail to realize ~ という具合にやるのはどうでしょうか。最後の at Court は in Palace でもOKですが in the Palace はいけません。ここの定冠詞の要不要については第123回やもっと以前にもやりましたね。「英語では冠詞が最難」です。ちなみに、冠詞の次に難しいのが前置詞です。

We raised our daughter from the day (when) she was born with a hope that we would send her to Court.  Her father, the late Dainagon, repeated his last words to the very end : 'Never fail to realize our wish that she shall go to Court.

N君:最後の同格taht節の中にある shall は何ですか?

S先生:N君が we would make her climb up ~ と書いた所を私は she shall go ~ としたわけですが、そこに違和感を感じてこのように質問してきたということは「N君も勘所をつかみ始めている」ことを示しています。2人称・3人称の主語に shall が付いている時は「主語に(を)~させる」の意になることがあります。He shall go there.「彼をそこに行かせよう」とか、You shall have my answer tomorrow.「明日返事をしよう」のような例があります。

N君:shall にそんな意味があったなんて今日は心底驚きました。