古文研究法154-3 おらが春(小林一茶)より:その噂、東西南北にぱっと弘がりぬ。つらつら思ふに、全く有りとは信じ難く、また、ひたすら無しと片づけ難し。天地不思議のなせるわざにて、いにしへ甘露を降らせ、少女(をとめ)の天下りて舞ひし例(ためし)なきにしもあらず。
その評判がアチコチにパッと拡まった。よく考えてみると、そんな事が本当に有るとは信じ難いし、また、全然無いとも言えない。宇宙の現象として起こった事であり、その昔、甘い雨が降ったり天女が降りてきて舞を踊った前例がないわけではない。
N君:江戸時代に「噂がパッと広がった」なんて言ってたんですね。この「パッと」に驚きました。
The rumor spread fast here and there. Pondering over it, I shall suspect its reality. But no one will be able to completely deny it. I think it will be one of the phenomena in cosmos. Until now we have had mysterious experiences : A sweet rain fell or a heavenly maiden danced in front of us.
S先生:良いと思います。第3文では分離不定詞も使われていて多彩になってきました。色々な形に挑戦していくことは大切です。
The rumor spread everywhere at once. When we stop to think about it, we find it impossible to believe whether such a phenomenon will happen or not. It is one of the universal phenomena. According to an early legend, a sweet rain fell and a heavenly maiden alighted on the earth to dance.
N君:先生の第2文前半 When we stop to think about it, は「立ち止まってよくよく考えてみると」でよいですか?
S先生:それで良いです。stop to do「立ち止まって~する」、stop doing「~するのをやめる」です。有名な例文としては、He stopped to smoke.「立ち止まってタバコを吸った」、He stopped smoking.「タバコを吸うのをやめた」。try や remember でも同様のことがあるので注意しておきましょう。try to do「頑張って~しようとする」、try doing「試しに~してみる」。remember to do「忘れずに~する」、remember doing「~するのを思い出す」。要するにこのような動詞は、後に不定詞が来た場合と動名詞が来た場合で、意味が違ってしまうのです。長文の中でこれらに出会った時にどの意味だったか即座に判断できませんよね。そういう時には「窮余の策」として、「to 不定詞はまだやってないこと、動名詞はもうやってしまったこと」として考えてみてはいかがでしょうか。