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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第779回 2023.5/6

古文研究法131-2 紫式部日記より:御前(おんまえ、中宮彰子)にも近う侍(さぶら)ふ人々はかなき物語するを聞こしめつつなやましうおはしますべかめるを、さりげなくもて隠させ給へり。御有様などの、いとさらなることなれど、浮世のなぐさめにはかかる御前をこそ、たづねまゐるべかりけれ(うつ)し心をばをば引き違(たが)へ、よろづ忘るるにもかつはあやしき

中宮彰子様も御傍近くお仕えする人々がとりとめのない話をするのをお聞きになりながら、妊娠のためけだるくいらっしゃるはずなのに、そんなでもない風に装っておいでになる。その御様子が素晴らしいのは今更言うまでもない。辛いこの世の慰めにはこんな中宮様に奉公して良かったとつくづく思う。その思いは普段の淡泊な心とは違っていて何にたとえてよいのか分からない。中宮様に仕える幸福感で色々な辛いことを忘れてしまうにつけても、一方では、この幸福感というのは我ながら分からない心理だ

N君:今日の部分は超難解で僕の手には負えません。訳文を読んでみて「エッ、そんな意味なの?」と驚くばかりでした。要するに「枕草子清少納言中宮定子を褒め称えた」のと同じで「紫式部日記においても紫式部中宮彰子を褒め称えた」のです。その雰囲気だけは分かりました。「はかなき物語」は「とりとめのない話」です。「なやましうおはします」や「例ならずおはします」というのは要するに「病気で体調が悪い」という意味です。ここでは「妊娠のためけだるい」くらいの意味。「べかめり」は「きっと~だろう」です。「いとさらなる事なれど」は「今更言うまでもないが」です。「たづねまゐる」は「奉公する」、「べかりけれ」は「~するのが良かった」、「うつし心」は「平常の心境」です。この後に続く「たとしへなくよろづ忘るるにも、かつは怪しき」の意味は全く分かりませんでした。訳文を読んで何となく理解しましたが、ここは学者先生でも難しいと思います。

Hearing ladies-in-waiting chat about miscellaneous trivia, Chugu Shoshi put on an unconcerned air about her physical condition though she undoubtedly felt a faint fatigue because of pregnancy.  It should be unnecessary to say, but her behavior was wonderful.  Indeed I thought that I was lucky to serve her because I was consoled by her warmth in this cruel society.  The comfort was far from my daily indifferent feelings.  Therefore I could not know what it should be compared to.  It was true that I could forget anything bitter owing to the comfort of my serving under her, but I was hardly able to understand what it means to be in a state of happiness.

S先生:後半が理屈っぽくて分かり難いです。特に第6文の what 節の中にある it が何を指しているのかが分かり難いです。おそらくN君はこの it を「辛い体験」の意味で使ったのでしょう。第6文前半に出て来た anything bitter を指しているのでしょうね。そう考えればこの第6文後半は「彰子様に仕えるという幸福感の中では現実世界の辛い出来事が存在することの意義などほとんど理解できなかった」と読めます。ここをはじめとして全体的に硬くて分かり難い作文になっているので、もっと簡潔に分かり易く作文するように考え直してみて下さい。また前回にも指摘したように、過去時制よりも現在時制のほうがイキイキ感が出ると思います。

Hearing her ladies-in-waiting rambling on about trifling things, Chugu Shoshi pretends not to feel languid at all though she must be owing to her pregnancy.  It goes without saying how decently she behaves herself.  I think I am very happy to serve such a calm lady when I am leading a trying life without any consolation.  Though I used to be in a vacant state of mind, I am filled with such happy feelings I never experienced that I tend to forget my daily painful life.  To my shame, however, I don't understand what happiness means.

N君:第1文後半 though 節中にある she must be の後には languid が省略されていると考えてよいですか?

S先生:その通りです。同じ単語の反復をできるだけ避けるようにしましょう。