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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第770回 2023.4/27

古文研究法127-1 源氏物語若紫より:尼君、髪をかきなでつつ「けづることをも(姫君は)うるさがり給へど、をかしの御髪(みぐし)や。いとはかなうものし給ふこそ、あはれにうしろめたけれ。かばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを。故姫君は十二にて殿に(おく)給ひしほど、いみじうものは思ひ知り給へりぞかし。ただ今おのれ見捨て奉らば、いかで世におはせむとすらむ」とて、いみじう泣くを見給ふも、すずろに悲し。

尼君は姫君の髪をなでながら「櫛で髪を整えるのもあなたはうるさがるけれど、とっても良い髪をしているわよ。あなたは頼りなさそうにしているから私はとても心配です。あなたくらいの年になればもっとシッカリした人も居るのにねえ。亡くなったあなたのお母さまは12歳の時に父上と死別したけれど、大変道理を弁えていました。もし今私が先に死んでしまったらあなたはどうやって暮らしていこうとするのでしょう」と言ってたいそう泣くので、それを見ていた光源氏もなんだか悲しくなってくる。

N君:やはり源氏物語はワンランク上の難しさがあります。単語の分からなさは当然として、その動詞の動作主が誰なのか? という問題に常に直面します。ここが分からないと話の筋が分からなくなるので大問題です。「けづる」は「櫛で髪を梳(と)かす」の意。「はかなうものし給ふ」は「頼りなく振る舞う」です。「うしろめたし」は「心配」の意で、昔と今で意味が違ってしまいました。「かばかり」は、ここでは「これくらいの年齢」の意でしょう。「かからぬ人」を直訳すると「こんなふうでない人」つまり「こんなふうに頼りないふうではない人」つまり「もっとしっかりした人」の意味になります。「後れ給ひし」は、父上が先にあの世へ行き自分はそれに後れた、という発想で、要するに「死別した」の意味です。昔は「どんどんあの世へ行くのが普通」で、この世に生き残っていることを「後れる」というふうに考えていたのでしょう。さて今回の文章で最も難しかったのは、最後に出て来た「いみじう泣くを見給ふも~」のところです。泣いているのは尼君、それを見ているのは、、、、なんと光源氏様だったのです。「見給ふ」というように敬語がくっついていることから、尼君よりも高位の人を想定しなければなりません。オイオイそれは無茶だろう、と言いたくなる所です。

Combing the hair of Princess, the nun said, "You seem to dislike being hair-cared by others, but you have very good hair.  Everyday you look so uneasy that I am very anxious about your future.  I think that girls in your generation are more reliable than you.  Your late mother, who lost her father when she was twelve years old, was more discreet than you.  If anything should happen to me and you should live alone, how will you get along ?"  Tears out of her sincerity made Lord Genji feel sad.

S先生:第1文冒頭の the hair of Princess がいけません。ここは第768回でも触れたように of のあとに独立所有格をもってくるべきであり the hair of Princess' として下さい。通常は 's を付けるのですがここでは Princess が s で終わっているので ' のみでよいです。ここは大切な所なのでもう一度768回に戻って検討し直して下さい。同じく第1文の being hare-cared by others はいかにも正しそうなのですが違います。辞書を見る限り hair-care という動詞は存在しません。よってここは have+O+P.P.「~してもらう」を使って having your hair cared としましょう。by others は説明的過ぎるので除外してください。第3文の girls in your generation という言い方はおそらくあると思われますが、これはおおまかなので、もっとはっきりとした年齢を表すために age を使って girls at your age とするのが良いと思います。

Smoothing the Princess' hair, the nun said with tears in her eyes, "You don't seem to like your hair combed, but you have beautiful hair.  You always look so uneasy that I am very anxious about you.  Girls will become steady and reliable at your age.  Your late mother lost her father when she was twelve year old, but she was a girl clever enough to know how to live.  Should I die at this moment, how will you be going to live your life ?"  Lord Genji felt sort of sad.

N君:先生の第3文に出て来た will は未来でもないし意志でもないですね。

S先生:「現在の習慣」を表しており、「女の子というのは~なものだ」と言っています。習慣というよりも普遍的な真実と言ったほうがよいかもしれません。

N君:先生の第6文は feel sort of sad「なんとはなしに悲しい」だと思いますが、sort of+名詞 は分かるけれども sort of+形容詞 というのは初めて見ました。

S先生:N君は a sort of+名詞 と sort of+形容詞 がこんがらがっているようなので、研究社の辞書を見ながら例文を挙げて整理しておきましょう。a sort of politician「政治家のようなもの、一種の政治家、まあ政治家と言ってよい人」に対して、sort of は主に口語で副詞的に使われます。たとえば、 He was sort of angry.「幾分怒っていた」とか、It sort of tilted.「幾分傾き気味だった」など。