kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第718回 2023.3/5

古文研究法106-2 堤中納言物語より:姫君のいらへ給ふことは「思ひ解けば、ものなむ恥ずかしから。人は夢幻のやうなる世に、誰かとまりて悪しき事をも見、善きをも思ふべき」とのたまへば、若き人々おのがじし心憂がりあへり。

姫君が御返事なさったことには、「よくよく考えてみると決して恥ずかしいことなんかありません。人は夢か幻のような儚いこの世に、いったい誰がずっととどまって物事のよしあしを判断することなどできようか」とのことであった。それを聞いて若い女房たちはそれぞれに(この世は儚いものね、などと言って)嘆きあった。

N君:前回、右馬介の姫君へのアプローチを大輔の君が取り次いだ場面でした。大輔の君の報告を聞いた姫君が今回のこの回答を出した、ということなのですが、ちょっとピントがずれているし非論理的です。前回と今回の内容が意味的につながりません。ということでちょっとやる気を失いかけている僕ですが、長い道中にはこういうこともある、と気を取り直して英訳作業をやってみます。「ものなむ恥ずかしからぬ」の「ぬ」は係り結びによって打消し「ず」の連体形「ぬ」が使われた、と理解しました。副詞「おのがじし」は「それぞれ、お互いに、おのおの」の意で、これは結構よく見ます。

The Princess replied like a philosopher, "Pondering over the affair, I never have to be shamed into covering my face with the fan.  In this ephemeral world, who should be able to continue judging what is right or wrong, and, honorable or shameless ?"  Hearing her penetrating remark, the ladies-in-waiting sighed with each other over the evanescent world.

S先生:前回と今回の希薄なつながりを上手に回復させた英訳でした。構成について特に言うことはありませんが、第3文の penetrating remark というのはちょっとギョッとしました。「核心を衝いたセリフ」のような意味でしょうか。感じは出ていますが、moving words くらいの方が無難だと思いました。

The Princess said thoughtfully, "Thinking it over again and again, I don't think I have done anything shameful at all.  We are forced to live an evanescent world like a dream or a vision.  Who on earth can judge what is right or wrong ?"  Hearing her touching words, the ladies-in-waiting grieved with each other over the evanescence of this world.