kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第615回 2022.11/22

古文研究法56-1 枕草子(定子)「これ、いつまでありなむ」と人々にのたまはするに、(女房たち)「十日はありなむ」「十余日(とうよひ)ありなむ」など、ただこのころのほどをある限り申すに、(定子)「いかに」と問はせ給へば、(私=筆者=清少納言)「正月(むつき)の十余日までははべりなむ」と申す、御前(定子)にも、さはあらとおぼしめしたり。

「この雪はいつまでもつかしら」と定子様が女房たちにおっしゃると、女房たちは「10日くらい」「10日以上は大丈夫でしょう」などと、近日の日限をあるったけ申し上げた。すると定子様が私に「あなたはどう思う?」とお尋ねになったので、私は「正月の10日過ぎまではもつでしょう」などと答えた。定子様は、さすがにそんなにはもたないだろう、と考えていらっしゃる。

N君:12月の中頃に降り積もった雪がいつまで溶けずにいるだろうかと、中宮定子のサロンで皆がペチャクチャおしゃべりしている場面です。発言の「」のあとに、「のたまはす」「問はせ給ふ」のような尊敬語が使われている場合と、「申す」のような謙譲語が使われている場合があるので、それによって発言者を類推できるというわけですね。このあたりが古文の奥ゆかしい所なのでしょうが、理数脳から言わせてもらえば「そんなことに気を遣う必要ある?」と正直に思います。「え+否定語」はこれまでに何回も出てた通り「不可能」を表します。今日の古文のキモは「なむ」です。本文では「連用形+完了ぬ未然な+推量む終止む」の形が4か所も出ていて「~だろう」と訳されています。「ありなむ」「はべりなむ」はこの調子で訳していけば良いですが、もしも「あらなむ」「はべらなむ」になったらどうでしょうか? この形は「未然形+誂え終助詞なむ」であって「~してほしいなあ」の意になりますから要注意です。

Princess Teishi said, "How long with this snow remain on the ground ?"    Ladies-in-waiting said, "For about 10 days."  or "For more than 10 days."  They enumerated the number of days as long as they could think of.  Then she turned to me and asked, "How do you think ?"  I answered in a slightly exaggerated tone, "This fallen snow won't thaw until after January 10th."  She seemed to consider my remark as an overstatement.

S先生:うーん、なんというか、硬いですね。N君の悪いところが出ています。もう少し肩の力を抜きましょう。第2文冒頭の主語 Ladies-in-waiting には定冠詞が必要です。そのサロンに居合わせた女房たち、を指しているのですから定冠詞が要ります。第5文の in a slightly exaggerated tone は間違いではないが、やや大仰かつ硬い感じがするので a little exaggeratedly くらいに短縮したい気がしました。それに続く This fallen snow の fallen は不要でしょう。あってもよいですが説明的過ぎる感じがします。同じことが第1文の on the ground にもあてはまります。この on the ground はなくてもよいですね。最後の第6文は、これこそ硬さの極致、とも言える文章です。間違いではないし言っている内容も分かるのですが、やはり硬すぎます。この部分が私の作文ではどうなっているか、注意して比べてみましょう。

Princess Teishi said to the ladies-in-waiting, "How long do you think this snow will remain unmelted ?"  Considering a lot how long it would stay, some of them said, "For about ten days," and others (said), "For more than ten days."  Then she said to me, "What do you think about it ?"  I answered that it would remain unthawed until after January the tenth.  She seemed to think that it couldn't stay so long.

N君:僕の作文の第6文 She seemed to consider my remark as an overstatement.  がS先生の作文では She seemed to think that it couldn't stay so long. になっていました。柔らかい表現になっていることは分かりました。ところでこの couldn't はどういう意味ですか?

S先生:良い所に気付きましたね。この couldn't は一般的な不可能の意味ではなくて「~のはずがない」の意味です。can に限らず、使い慣れた助動詞 will, may, must, dare, need, have, do などには思いもよらぬ用法があるので、一度じっくりと辞書を読み込むことをお勧めします。ちゃんと調べればそれだけでノート1冊分くらいにはなります。