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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第627回 2022.12/4

古文研究法64-1 枕草子:御乳母(めのと)の大輔(たいふ)けふ日向へ下るに、賜はする扇どもの中に、片つ方は、日いとうららかに射(さ)したる田舎の館(たち)など多くして、いま片つ方は、京のさるべき所にて雨いみじう降りたるに、(以下次回へ続く)

定子様の乳母を務めた大輔今日、日向国へ旅立つのに対して、定子様が大輔に餞別として下賜なされた扇の中に、「片面は陽がたいそう明るく射している田舎の建物などを多く描いてあり、もう片面には京都のちゃんとした所で雨がひどく降っている」という絵柄の扇子があった。それを見て定子様が以下のように歌をお詠みになった。

N君:「大輔のけふ日向へ下るに」の「の」は「主格の『の』」です。このくらいはさすがに僕も分かるようになりました。おそらくこの乳母にあたる女性の夫がどこかの省の次官、つまり、大輔、だったのでしょう。それでこの女性も「乳母の大輔」と皆から呼び習わされていたのでしょう。ところがこの夫が今回、宮崎県の知事にご栄転、ということで、この女性も夫に付いて宮崎県へ向かう、という背景があるのだと思います。当然、定子はこの女性に対して別れを惜しむ、という話になります。自分の育ての親ですからね。

Today was the day when Taifu, a foster mother of Chugu Teishi, was going to set off for the Province of Hyuga.  On both sides of the folding fan which Teishi conferred on Taifu, there were conspicuous pictures with eccentric designs.  On one side of the fan, a lot of rural buildings being bathed in the sunshine were depictedOn the other side, we could see a painting which portrayed a heavy rain falling on a precious place in Kyoto.  Tempted by the pictures full of wit, Teishi composed a poem for Taifu :

S先生:第1文冒頭で today と過去be動詞が共存していてちょっと違和感を覚えましたが、調べてみるとこれはこれでOKです。普通 I have gone to the dentist today.「今日歯医者へ行ってきた」と言うわけですが、これを I went to the dentist today. と言っても別に構わないわけです。さて第3文が問題です。まずは rural buildings being bathed in 、、、ですが、田舎なのにビルディングは合わないので rural houses くらいが良いし、直後の being は不要でしょう。ただこのような直しはどうでもよいのであって、問題は「この文が頭デッカチになっている」ということなのです。主部が重すぎるのです。こういう時は、副詞句+述部+重い主部、という構成を考えましょう。軽前重後だね。たとえばこの第3文であれば On one side of the fan were depicted a lot of rural houses bathed in the sunshine.  としてみてはいかがでしょうか、こうするとグッと良くなりました。第4文でN君は頭デッカチを避けるために無意識のうちに we could see を持ってきましたが、これも第3文同様、副詞句+述部+重い主部、の構成を考えることができますね。その構成を作る前に小さな手直しをしておきたい事があります。それは a painting which portrayed a heavy rain falling on 、、、の所が硬すぎるので a painting of a heavy rain falling on 、、、としましょう。ここは A of B +~ing「Bが~しているA」という言い方で、今後も使えますから注意しておきましょう。このことを踏まえて第4文を On the other side was a painting of a heavy rain falling on a precious place in Kyoto.  とするのがよいです。第5文はとても良い。特に分詞構文の中で形容詞を後置して名詞を修飾しているところに好感が持てました。腕を上げていると思います。

Taifu, Teishi’s old nurse, was going to the Province of Hyuga today.  Teishi presented Taifu with a fan as a farewell gift.  On one side of the fan was drawn a picture of rural shabby houses brightly shined with a warm sunlight, and on the other side a picture of noble residences in Kyoto veiled with a heavy rain.  Seeing the tasteful pictures, Teishi composed a moving poem :

N君:先生の第3文後半で and on the other side の直後には、前半で使われた述部「 was drawn 」が省略されている、と解釈してよろしいですか?

S先生:その通り。構成が見えてきましたね。