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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第616回 2022.11/23

古文研究法56-2 枕草子:女房はすべて年の内うち晦日(つごもり)までもあらとのみ申すに、あまり遠くも申しつるかな、げにしもやあらざらむ、一日(ついたち)などぞ言ふべかりける、と(した)には思へど、さはれ、さまでなくとも言ひ初(そ)めてむことは、とてかたうあらがひつ。

「女房達は皆、年内、よくいっても大晦日までもたないだろう、と口を揃えて申し上げたのに、私は、正月10日などとあまりに先のことを申し上げちゃったけど、実際にはそんなにもちそうもない、正月一日とでも言うんだったわ」と、心の中では思ったけれど、「ええ、ままよ、そこまではもたなくても、一旦言い出しちゃったことはこのまま言い通そう」と思って、頑強に突っ張った。

N君:この部分は特殊な構造をしています。前半と後半に筆者の心中が書かれていて、中央に「と下には思へど」という合いの手が入っいて、最後に「とて硬う抗ひつ」で終了。この構成を見破ることができるかどうかが解釈のキモとなります。「え+否定語」はこれまで何回も出た通り不可能を表す表現です。「下には思へど」は「心の中では思うけれど」の意味です。

I said to myself, "Although they all proclaimed that the snow would vanish by the end of this year, I blurted out such a careless comment as January 10thA moment's thought should be enough for everyone to see that it was too long.  I should have said that it would till January 1st at least."  But I changed my mind and insisted on the date of January 10th, thinking inwardly, "I don't care if I am wrong.  Even if the snow does not remain so long, I would rather maintain what I uttered."

S先生:前回に引き続きN君の硬さが出ました。N君に限らず理数系の人が書く文章は硬い。そういう人種なのでしょうか。人間味のある柔らかさを意識して文章を作るように心がけてみましょう。第1文に登場した動詞 proclaim は proclaim war「宣戦布告する」のようにとても重い言葉なので、こういうところに使ってはいけません。ここは said で充分です。第1文主節の I blurted out such a careless comment as January 10th. も間違いではないですが、なんとも直接的な言い方でちょっと気が引けます。肩の力を抜きましょう。たとえば I was careless enough to say that it would remain on the ground till January 10th.  くらいに変えてみてはどうでしょうか。第2文 A moment's thought should be enough for everyone to see that it was too long.「正月10日というのは誰でもちょっと考えれば長過ぎだと分かる」という言い方は、よく工夫された構成であり、正直「よくこんな言い方を考え付いたものだ」と感心してしまうのですが、やはり硬さは否定できません。この部分は私の作文では It really couldn't. というふうに簡潔になっていますので、N君の作文と比べてみて下さい。。第4文の insisted on も強すぎです。清少納言中宮定子に対してこのように主張したわけではなくて、自分の見解に「こだわっただけ」なのですから、clung to くらいでどうでしょうか。前回・今回ともにN君の作文は文法的には正しいし、言いたいことも伝わってくるのですが、堅苦しい感じがあるので、今後はそういうところに気を配って作文するようにしてみて下さい。昔に比べて私からの注文のレベルが上がっているということは、それだけN君が成長しているということです。

I thought to myself, "They said with one voice that it would do if it should remain on the ground until the end of the year or until the thirtieth at least, but I said carelessly that it would until as long as January the tenth.  It really couldn't.  I should have said that it would until January the first."  But thinking that once I said so, I should persist in my remark, I would't withdraw my words.

N君:先生の第1文に出てくる it would do if ~ というのはどういう意味ですか?

S先生:it は if節を受けていて would do「~でよかろう」くらいの意味です。この雪は年内までもつのがせいぜいだろう、くらいの意味になります。

N君:その後 would が2回出てきますがその直後には remain が省略されていると考えて良いですか?

S先生:その通りです。It really couln't. の後にも remain が省略されています。英語は繰り返しを嫌うのでこうなります。

N君:先生の第3文に出てくる should have said は「~というべきだったのに、、、」みたいな意味で良いですか?

S先生:そうです。should +have +p.p. の形は「過去に実現しなかったことを、少しの後悔を含みながら振り返る」といった感じの言い方です。regret のような直接的な動詞を使うことなく「後悔」を表現できるのでN君も挑戦してみて下さい。