kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第726回 2023.3/14

古文研究法110-1 大鏡より:ひととせ入道殿(藤原道長)大堰川(おほゐがは)の逍遥(せうえう)せさせ給ひしに、作文(さくもん)の船・管弦の船・和歌の船、と分けさせ給ひて、その道にたへたる人々を乗せさせ給ひしに、公任(きんとう、道長のいとこ)の大納言参り給へるを、入道殿「かの大納言、いづれの船にか乗らるべき」と宣(のたま)はすれば、(公任)「和歌の船に乗りはべらむ」と宣ひて詠み給へるぞかし。【小倉山嵐の風寒ければ 紅葉の錦着ぬ人ぞなき】

ある年に道長大堰川で舟遊びを催した時に、漢詩の船・音楽の船・和歌の船、という具合に分けて、それぞれの道のエキスパートたちを乗せたのですが、公任大納言来たのを見て「あの大納言はどの船にお乗りだろうか?」と尋ねたところ、公任が「和歌の船に乗りましょう」と答えてお詠みになった歌です:【川の両岸にある小倉山と嵐山から吹きおろす風寒いので、その風に運ばれてくる紅葉の葉を身に受けない人はいない、まるで錦を着たように、、、】

N君:この文は読み易かったです。意味が分かりました。副詞「ひととせ」は「ある年に」の意。「その道にたへたる人々」は「それぞれの道のエキスパートたち」で、「堪(た)ふ」は「すぐれる」の意。主格の「の」が3か所に出ていますが、これはさすがに慣れてきたので分かるようになりました。

When Lord Michinaga held a boating excursion on the Ohi River in a certain year, he sorted the boats into ones for Chinese poems, music and Iapanese poems.  Experts were respectively made to ride on the boat of their special subject.  Seeing Lord Kintou, a Chief Councillor of State, appear behind schedule, Lord Michinaga said, "Oh, a Chief Councillor, which boat are you to go abroad ?"  Lord Kintou said, "I would like to get on a boat for Japanese poem."  There he composed a poem : "A piercing wind is blowing down along the Ohi River from Mt. Ogura and Mt. Arashi.  Everybody wears maple leaves brought by the winds as if he wears a colorful brocade."

S先生:今日は色々あります。第2文の ride on the boat がいけません。ride on は自転車や馬に乗る感じです。ここは船なので board the boat くらいにしましょう。その直後の前置詞 of に違和感があります。ここは the boat for their special subject でしょう。第3文の「大納言にくっついた不定冠詞」がいけません。まず固有名詞が来て、その直後に身分を表す名詞が同格として使われる場合には冠詞が省略されます。たとえば Mr. Trump, President of the United States のように言うのであって a President ~ とは言いません。これは直接話法の中での呼びかけの場合もそうで、不定冠詞は不要です。第5文の和歌前半部分では down の位置に違和感があります。もうちょっと下げて A piercing wind is blowing along the Ohi River down from Mt. Ogura and Mt. Arashi. とするほうが動きが出ると私は思います。和歌後半では as if 節の中の wears がいけません。ここは仮定法なので wore にすべきです。もっと感じを出すには受身形にして as if he were clad in a colorful brocade というふうにするのも良いでしょう。clothe の古い形の過去・過去分詞が clad です。

Lord Michinaga held the festival of boating on the River Ohi in a certain year.  He sorted the boats into three different ones : one for composing Chinese poems, one for playing music and one for composing waka.  Seeing Lord Kinto coming there, Lord Michinaga asked him which boat he would take.  Lord Kinto answered that he would get on a boat for waka.  This is the poem he composed on board : "The wind blowing down from Mt. Ogura and Mt. Arashi is so piercing that there seems to be no one (who) does not wear red leaves as if brocade clothes were put on.

N君:先生の第2文末の waka は複数形にしなくてもよいのですか?

S先生:Chinese poems にならって wakas と書きたい気持ちは分かりますが、wakas は誤りです。日本語をそのまま英語として使った名詞はたとえ複数でも s をつけてはいけません。1000 yen を 1000 yens とは言わないでしょう、それと同じです。

N君:先生の第5文で和歌の中身ですが、there seems to be no one who does not do「~する人は誰もいないだろう」の who を省略してしまったら意味が分からなくなってしまうと思います。

S先生:たしかにその通りなのですが、There be 構文では主格の関係代名詞が省略されることが多いのです。慣れていきましょう。