kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第684回 2023.1/30

古文研究法87-2 徒然草104段より:(女房)「門(かど)よく(さ)してよ。雨もぞ降る。御車(みくるま)は門の下に。御供の人はそこそこに」と言へば、(男の家来)「今夜(こよひ)やすき寝(い)はぬべかめる」とうちささめくも、忍びたれど(ほど)なければ、ほの聞こゆ。

家付きの女房が「門をよく閉めておくれ、雨が降るといけないので。御車は門の下へどうぞ。御供の方々はどこそこに」と言うと、御供の家来たちが「今晩こそゆっくりと寝られそうだ」と言う声が、そっと小声で話しているのだが、距離がないので、ぼそぼそと聞こえる。

N君:家付きの女房がてきぱきと指図しています。「門よく閉してよ」は命令文で「門をぴしゃっと閉めておくれ」です。完了助動詞「つ」の命令形「てよ」が出ました。これはなかなかお目にかかりません。次は古文の最重要事項の「もぞ」「もこそ」で、これは懸念を表します。「雨もぞ降る」は「雨が降るといけないので」の意味になります。一般に女性は安全領域を確保しながら生きているので「もぞ」「もこそ」を使う確率が高いような気がします。男はあまり使いません。英語では in case でしょうか。「やすき寝はぬべかめる」は難しい。まず「やすき」は「心易く」「ゆったりと」です。「寝(い)は寝(ぬ)」は「眠る」「寝る」の意。「べかめり」は推量。全体として「ゆっくりと寝られそうだ」となります。「寝(い)も寝(ね)ず」の形はよく出るので僕も知っています。「寝(い)」は名詞、「寝(ぬ)」は動詞で、その後に打消助動詞「ず」があります。「ず」は未然形接続なので「寝(ぬ)」は未然形「寝(ね)」になっています。ところが本例では最後の助動詞が「べかめり」でこれは終止形接続なので「寝(ぬ)」は終止形となり「寝(い)は寝(ぬ)べかめり」となりました。前に係助詞「ぞ」があるので連体形「べかめる」となって、最終的に「いはぬべかめる」となりました。「忍ぶ」は「小声でひそひそしゃべる」。「程」は「距離」なので「程なし」は「近い」となります。

The lady-in-waiting said to his men, "Close the gate fast.  I am afraid that it might rain tonight.  Please put the ox carriage at rest under the gate.  You, entourage, are allowed to sit and lie down here and there."  Hearing her brisk comments to take care of them, they talked in lowered voices with each other, "Tonight, for sure, we will be able to sleep sound."  Quietly as they spoke, they could be heard because she stood near them.

S先生:上出来です。今日は単語について少し触れておきましょう。第1文の Close the gate fast. で使われた副詞 fast「ぴしゃりと」はここではピッタリでした。「速く」以外にもこのように使われることに注意しておきましょう。第3文の entourage「従者」は知らなくてよいです。attendants を使いましょう。第4文の brisk「きびきびした」は知っておいてよい形容詞。ただしここの Hearing her brisk comments to take care of them, という分詞構文は、表現としてやや凝りすぎ too elaborate な感じがします。この第4文の文末にある sleep sound「ぐっすり寝る」に使われた副詞 sound は大切です。名詞では「音」「海峡」、形容詞では「壮健な」、副詞では「ぐっすり」、動詞では「深さを測る」のように色々な意味があります。このような単語を多義語と呼んでいます。多義語は出題者から見て出題したくなるポイントなので、注意しておきましょう。

The lady-in-waiting said, "Close the gate fast.  I am afraid it might rain.  Pull the ox-drawn carriage under the gate.  You men, rest around there."  Hearing her say so, they whispered, "We will be able to sleep well tonight."  They talked softly, but their subdued voice could be heard because they were not so far from her.

今日は久し振りの英作談義で get を取り上げてみたいと思います。get 「獲得する」はちゃんとした他動詞ですが、この語はそれだけにはとどまらない広さを持っていて、be動詞のような使われ方もします。つまり今日の話は「自動詞としての get をどのように認識しておけばよいのか」という話になります。(1) まず get+過去分詞 の形です。get drunk「酔っぱらって」、get married「結婚して」、get promoted「出世して」、get started「始まって」、get acquainted「知り合って」などなど。これらは「~の状態になって」の意であり、get の代わりに be を使ってもほぼ同じ意味なのですが、get のほうがやや動きがある感じがしますね。要するに get+補語 の補語の部分に過去分詞が入った状態です。過去分詞でなくて形容詞が入ってもよいので、get old「年をとって」、get nervous「イラついて」、get wild「野蛮にふるまって」のようにも使われます。(2) 次は get to do の形で「~するようになる」の意味で使われます。come to do に似ていますね。You will soon get to love her.「じきに好きになるよ」のように使います。I didn't get to go to college. は「通えるようになれなかった」つまり「行けなかった」の意味です。(3) 最後に get doing「~し始める」という言い方もあります。We got talking.「話し始めた」。