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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第548回 2022.9/17

古文研究法12-2 土佐日記:持て来たる物よりは歌はいかがあらむ。これかれあはれがれども一人も返しせず。しつべき人も交われれど、これをのみいたがり物をのみ食ひて夜更けぬ。この歌主「まからず」と言ひて立ちぬ。

持ってきたごちそうに比べると歌の出来はどんなものかしらね。この歌をそこに居合わせた誰彼は褒めはするものの誰一人として返歌しない。返歌していいはずの人も同座しているのだが「こりゃどうも結構な歌で、、、」と言うばかり。ごちそうを頂戴するばかりで夜も更けてしまった。この歌主もまた「おいとましましょうかな」と言って座を立った。

N君:貫之の送別会にやって来て下手な歌を詠んだ男の話の続きです。「まからず」は「まからむず」つまり「まからむとす」なので、おいとましましょうかな、の意になります。この「ず」は打消し助動詞のように見えるのでややこしいです。

I was suspicious of whether his poem was more wonderful than the fine feast he had brought.  Everyone who happened to be there complimented him on his way to make the poem, but no one returned a single answer poem to him.  Even a man who was supposed to play a role as a returner made the slightest response by just praising the poem superficially.  All he did was to eat the food and to make a single comment, "Oh, your poem is so good、、、."  Meanwhile it had grown very late.  Feeling a chill cast over the gathering, the poor poet went out, leaving a sad remark, "It's about time to back."

S先生:うーん構成は良いのですが今日は色々と小言があります。第2文の his way to make the poem が堅苦しい。単に his wonderful poem でよろしい。あるいは his way of writing a poem くらいなら可でしょう。とにかくこのままでは重いのです。同じく第2文後半の answer poem は和製英語のように思えますので単に poem にしましょう。第3文の play a role as a returner堅苦しい。ここは reply to it くらいで軽く流しましょう。第6文前半の分詞構文 Feeling a chill cast over the gathering, はおそらく「座を覆う冷たい視線を感じて」という意味で作文したのだろうと思いますがこれも説明的過ぎると思います。Feeling a chill atmosphere, くらいで充分と思います。後半の分詞構文 leaving a sad remark, " ~." も少し変です。leave は目的語を一つしか取りません。このままだと SVOO の授与動詞のように見えてしまいます。よってここは saying sadly, "~." とするのが軽くて良いでしょう。第6文末の動詞 back には「帰る」という意味はありません。back は他動詞としては「後援する」、自動詞としては「あとずさりする」の意なのです。よってここでは素直に go back としましょう。今日はいろいろ言いましたが最も大切なことは「軽く流せばよい所で凝ってはいけない」ということです。特に分詞構文というものは「主節に軽く添える」という趣旨の文体なのですから、そこがコテコテしていてはいけないのです。

I wondered which was better, his gorgeous dinner or his poem.  Those who happened to be there praised him for his poem intentionally, but none of them would not reply to it.  A man who ought to reply sat with him at a farewell party for me, but he did not say anything but pretend to admire him.  While they were just enjoying the delicious meal, the night was far advanced.  The poor poet also got up from his seat, saying, "I am sorry I must be going now."

授与動詞の話がちょっと出ました。第4文型SVOOを作る動詞、たとえば give です。その受動態についてちょっと触れておきましょう。He gave me a book. を受け身にしたい時、I を主語にする構文、A book を主語にする構文が考えられます。自然なのは後者であり A book was given to me by him. は古くラテン語に由来する構文と言われています。一方 I was given a book by him. は新しく英語で発達した構文だそうでちょっとだけ人工的な感じがしませんか? 現在ではこのふたつとも普通に使われています。もうひとつ例を見てみましょう。They offered him the position.  を受け身にすると、The position was offered to him. は自然なのですが、He was offered the position. のほうは何か人工的なものを感じます。さて前振りはここまでとして、She wrote him a long letter.  を受け身にしてみましょう。まず A long letter was written to him by her. という受け身文はOKです。一方 He was written a long letter by her. はダメなのです。つまり write は確かに第4文型を作る授与動詞ではありますが、受け身型の一方(間接目的語を主語にもってくる形)が例外的に不成立だ、というふうに理解しておいてよいでしょう。英語も深く分け入っていくといろいろなことがあるものです。

N君:中学生のころから違和感を持っていたことが一つ解決された思いがします。