kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第647回 2022.12/24

古文研究法71-1 徒然草71段より:名を聞くよりやがて面影は推し量らるる心地する、見る時はまたかねて思ひつるままの顔したる人こそなけれ。昔物語を聞きても、このごろの家のそこほどにてぞありけむと思(おぼ)え、人も今見る人の中に思ひよそへらるるは、誰もかく思(おぼ)ゆるにや。

名前を聞けばすぐにその人の顔を想像することができるような気がするものである、実際にその人に会ってみると前もって思い描いていた通りの顔をしている人って、いない。昔の話を聞いた時に、その話に出てくる場所が今のあの家のあのあたりだろうと思ったり、その話に出てくる人が今会える人々の中のあの人だろうと比べて考えることができるが、こういうことは誰でも思うことなんだろうか?

N君:哲学的な内容で、僕としてはあまり共感できません。このような抽象的なことを作文するのは難しそうです。「より」は「~するとすぐに」、「やがて」は「そのまますぐに」の意味なので、両者はほぼ同じです。逆接の助詞「を」が登場しました。「よそふ」は「比べる」なので、「思ひよそへらるる」は「思い比べることができる」となります。

Although we will often think of someone's face when we hear his name, we notice that his actual visage is subtly different from what we have imaged in advance.  Nobody has the very same image as his actual appearrance.  When I listen to an old tale, I can suppose that the place in the tale is near the house where one of my acquaintances live.  Similarly I can compare the man in the tale with one among those I can see now.  Does everyone think so ?

S先生:だいたい良いですがややくどい。第1文末の in advance「前もって」は不要です。直前の現在完了 we have imaged の中に既にその意味が含まれているので、ここに in advance を加えてしまうと「屋上屋を重ねる」「馬から落馬」みたいな感じが出てしまいます。第2文 Nobody has the very same image as his actual appearrance. は第1文の内容と重なってしまうので、この第2文全体を除外してもよいでしょう。この文章全体でN君は we や I のような1人称を使っていますが、こういう文の場合は you のほうが普通です。第3文に suppose +that節 の形が出たので、この suppose についてちょっと触れておきます。たとえば I suppose that he will come.「来ると思うよ」はよく使われる形で、特に言うことはないのですが、たまに I suppose him to come. と書く生徒がいます。能動態の suppose にはこの形はないので注意して下さい。しかし受動態では話は別です。He is supposed to come. 「来ると皆期待している」。 He is supposed to approve the plan.「賛成すると皆期待している」。You are supposed to be here at ten tomorrow morning.「明日朝10時に来いよ」。この受動態の形が頭に残っていて能動態の時も使ってしまうのでしょうが、ここは気を付けましょう。

If you hear a certain man's name, you will feel as if you could image his features.  But when you see him, you will find him quite different from what you have thought he is.  When you hear an old tale, you will think the place in the tale may be around the house where an acquaintance of yours live.  And you often compare the character in the tale with one of your friends you meet in your daily life.  I wonder if there is anyone thinks like this.

N君:先生の第2文後半にある名詞節 what you have thought he is について教えて下さい。どういう構造なのでしょうか?

S先生:もともと what he is「現在の彼(見た目・ひととなりを含めて)」という形があって、それに後から you have thought を挿入した、と考えて下さい。「あなたがこれまで想像してきた彼の今の姿形」という意味になります。

N君:先生の第5文 I wonder if ~「~かしら」の節中の構造が分かりません。

S先生:実は anyone の後に主格の関係代名詞 who が省略されているのです。ちゃんと書くと there is anyone who thinks like this「このように思う人がいる」となります。この who はかなりの頻度で省略されます、むしろ省略するのが普通、という感覚です。someone でなくて anyone にしたのは「この文章が肯定文の恰好はしていても意味的には疑問文だから」と理解してもらってよいです。

N君:関係代名詞は目的格の場合は省略されて接触節なんていう呼び方をされているのを知っていましたが、主格の場合でも省略されることがあるなんて驚きです。