2022-03-01から1日間の記事一覧
帚木268・269・270・271・272・273:君はとけても寝られ給はず。いたづらぶしとおぼさるるに御目さめて、この北の障子のあなたに人の気配するを、(源氏)「こなたやかくいふ人の隠れたる方ならむ。あはれや」と、御心とどめて、やをら起きて立ち聞き給へば、…
帚木265・266・267:(源氏)「さりとも、真人たちのつきづきしく今めきたらむに、おろしたてむやは。かの介は、いとよしありて気色ばめるをや」など物語りし給ひて、(源氏)「いづかたにぞ」。(紀伊守)「皆下屋におろし侍りめるを、えやまかりおりあへざらむ」…
帚木262・263・264:(源氏)「伊予介はかしづくや。君と思ふらむな」。(紀伊守)「いかがは。わたくしの主とこそは思ひて侍るめるを、すきずきし事と、なにがしより始めて、うちひき侍らずなむ」と申す。 源氏が「されば伊予介はその後妻を大切にしているのか?…
帚木259・260・261:(紀伊守)「不意にかくてものし侍るなり。世の中といふもの、さのみこそ、今も昔も定まりたる事侍らね。なかにつけても女の宿世は浮かびたるなむあはれに侍る」など聞こえさす。 「なにさま、思いもかけずこういうことになりました次第で…
帚木255・256・257・258:(源氏)「あはれの事や。この姉君や、真人の後の親」。(紀伊守)「さなむ侍る」と申すに、(源氏)「似げなき親をもまうけたりけるかな。うへにも聞こし召しおきて宮仕へにいだしたてむと漏らし奏せし、いかになりけむと、いつぞやのた…
帚木249・250・251・252・253・254:あるじの子供をかしげにてあり。わらはなる、殿上のほどに御覧じなれたるもあり。伊予の介の子もあり。あまたある中に、いとけはひあてはかにて、十二・三ばかりなるものあり。(源氏)「いづれいづれ」など問ひ給ふに、(紀…