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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第623回 2022.11/30

古文研究法62-1 徒然草:人は己(おの)れをつづましやかにし奢(おご)りを退けて財(たから)を持たず、世を貪(むさぼ)らざらむこそいみじかるべき。昔より賢(かた)き人の富めるは稀なり。唐土(もろこし)に許由といいつる人は、さらに身にしたがへる蓄えもなくて、水をも手してささげて飲みけるを見て、瓢箪(なりひさご)といふ物を人得させたりければ、ある時、木の枝に掛けたりけるが、風に吹かれて鳴りけるを、かしがましとて捨てつ。また手にむすびてぞ水も飲みける。いかばかり心のうち涼しかりけむ。

人は自分の身を質素に保ち贅沢をしないようにして財産を持たず世俗的な欲にふけらないようにするのが立派なことであるに違いない。昔から賢人と言われる人で金持ちだった例はめったにない。中国の許由という人は、てんで自分のために蓄えなんかなくて、水でも手ですくって飲んでいたので、それを見た人瓢箪を与えたところ、ある時木の枝に掛けていた瓢箪が風に吹かれて音をたてたのがやかましいと言って、その瓢箪を捨ててしまった。そしてまたもや手ですくって水を飲んでいたそうだ。許由の心中はどんなにかサッパリしていたことだろう。

N君:世間的な物事にとらわれないことの大切さを兼好法師が語っています。一歩間違うと変人ですけどね。イヤイヤ許由さんはもう充分変人の域に入っています。このような変人を妙にありがたがるのもちょっと違うと思いますが、兼好が生きた鎌倉~室町時代には世間の許容度が大きかったのかもしれません。令和の現在ではもう無理です。現代の許由はまちがいなく生活保護対象でしょうね。形容詞「いみじ」は、良い方にも悪い方にも「並々でない」の意なので、「とても良い」か「ひどくダメ」です。ここでは良い意味で「立派だ」の意。「さらに~否定語」は英語で言うところの not ~ at all であり「さらさら~ない、てんで~ない」の意であり、ここは副詞の呼応という意味で大切なところです。「瓢箪といふものを人の得させたりければ」に出てくる「の」は主格の格助詞。人が許由に瓢箪を与えた、というわけです。「掛けたりける」「鳴りける」はともに連体形で「瓢箪」が隠れています。全体的に主語や目的語の省略が多いので、ひとつひとつ確認しながら進みますが、源氏物語にくらべれば「まだマシ」です。

It must be praiseworthy for a human being to lead a frugal life.  We have to avoid living luxuriously and having worldly greed for money.  There have been few wise men who were rich.  A man named Kyoyu in China did not have any savings for himself.  He drunk water cupping his hands, not using a cup.  Seeing his awkward behavior, one of his neighbors gave him a gourd.  After a while, however, the gourd, hung down from a branch of a tree and swung by a little wind, made a noise.  Feeling uneasy, he threw it away.  It is said that he again scooped water with his own hands.  How refreshed he felt, I guess.

S先生:だいたい良いでしょう。第5文末の cup は重複を避ける意味で ladle「ひしゃく」 にしましょう。第7文の by a little wind は定冠詞を使って by the wind にして下さい。ここは理屈抜きで覚えてもらうしかありません。覚えるというよりも、常に使って慣れる、と表現するほうが適当でしょう。私から見れば「数学のサインコサイン」も理屈というよりは慣れて使っているように見えます。いつも使っていると知らず知らずのうちに体に染みついてしまう、という感覚です。

It must be admirable for people to live simply, not luxuriously, with no property.  It will be undesirable to indulge worldly greed for honors.  There have been few wise men who were wealthy.  Having no savings at all, a Chinese named Kyoyo used to scoop up water with his hands to drink it.  Seeing him doing so, a man kindly gave him a gourd.  He hung it on a branch, but it made a rattling sound when the wind blew.  It was so noisy that he threw away the gourd.  And again he began to drink water using his hands.  How refreshed he felt !