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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第590回 2022.10/28

古文研究法38 方丈記:都のてぶりたちまちに改まりて、ただ鄙(ひな)びたる武士(もののふ)に異ならず。世の乱るる瑞相(ずいしょう)とか聞けるもしるく、日を経(へ)つつ世の中浮き立ちて人の心も治まらず民の憂(うれ)へ遂に虚(むな)しからざりければ、同じき年の冬なほこの京に帰り給ひにき。

都の風俗がいっぺんに変わって全く田舎っぽい武士と同じことだ。世の中が乱れる前ぶれだとか聞いたちょうどその通りで、日が経つにつれて世の中が動揺して人心も落ち着かないので、人民の訴えが遂に効を奏して、同年冬に再びこの京都へお帰りになった。

N君:落ちぶれ始めた平家が1180の6月に都を京から今の神戸市にあった福原へ移したものの、ブーイングに負けて年末には京へ戻って来た出来事を、鴨長明が記述しています。最後のところの「京に帰り給ひにき」=「京都へお帰りになった」というのは、平清盛のことを言っているのか、それとも後白河院のことを言っているのか、不明ですが、ここでは清盛ということで英作文しました。「てぶり」は「風俗」、「瑞相」は「前ぶれ」で英語なら aura でしょうか。「しるし」は名詞なら、標、の字が示す「目印、墓、証拠」の意味と、験、の字が示す「前兆、霊験」の意味がありますが、ここでは形容詞の「著(しる)し」であり「明白な」や「まったくその通りで」の意味になります。

Since the capital was transefered from Kyoto to Fukuhara, the customs had completely changed into the rural way warriors like.  As unfavorable things occurred, the world became less peaceful.  The world fluctuated and the public was misled with the time going on.  At last their compliment that they wanted to go back to Kyoto was accepted by Kiyomori.  Then he went back to Kyoto in the winter of the same year.

S先生:まずまずの出来ですがいくつか指摘があります。第1文は Since 節で始まっていますが、このように Since を文頭に置くと「~なので」という理由に受け取られてしまいます。ここではN君は「~以来」と言いたかったのですから、since 節を後置して下さい。例文を挙げてみましょう。Since his daughter is ill, he can't take her with him.「娘が病気なので彼は娘を同伴できない」、これは理由ですね。一方、Two years have passed since I last saw him.「彼に会って以来2年が過ぎた」、これは経過です。ちょっとしたことですが気を付けて下さい。第1文主節の末尾にある the rural way worriors like「武士が好む田舎風のやり方」にはちょっと引っ掛かりました。この主節の主語は既に the customs と分かっているのですから、この末尾は those of the rural warriors「田舎武士の習慣」とでもするのが英語らしくて良いと思います。例になるかどうか分かりませんが以下の例文を参照して下さい。The temperature here is higher than in Tokyo. は正しいように見えますが間違いです。どこがいけないか分かりますか? 正しくは、The temperature here is higher than that in Tokyo. が正解です。このようなちょっとした指示代名詞がとても大切です。第2文の the world became less peaceful は目立ちませんが見事な言い回しです。こういう細かいことを積み重ねていきましょう。第3文の misled はちょっと分かり難いですが mislead の過去分詞ですね。第4文の their や they は平家一門を指しているのかそれとも一般大衆を指しているのか? そこらあたりをもうちょっとはっきり表現するほうが良いでしょう。

The manners and customs the Taira clan had been used to in Kyoto changed completely into those of the local vulgar warriors.  As the days went by, the people began to get disturbed by the rumor that the world was going to war.  Since they complained that the clan should go back lest they be drawn into battle, Kiyomori was forced to return there unwillingly in the winter of the same year.

N君:S先生の第3文に出てくるふたつの they は the people でよいですか?

S先生:それでよいです。『「民衆が戦乱に巻き込まれぬよう、平家は都へ帰るべきだ」と民衆が訴えたので、清盛は心ならずも同年冬に京へ帰らなければならなくなった」ということです。lest they be drawn 、、、は lest they should be drawn 、、、の should が省略された形です。

N君:S先生の第1文の主部 The manners and customs the Taira clan had been used to in Kyoto は「平家がかつて京都で慣れ親しんでいた風俗習慣」ということでよいですか?

S先生:それで良いです。be used to ~= be accustomed to ~ であり、~の部分には名詞が来ます。I am not used to the custom.「その習慣には慣れていない」は状態を表現していますが、You will soon get used to the custom.「その習慣にはすぐに慣れるよ」は動作を表現しています。この違いにも気を付けて下さい。