kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第583回 2022.10/21

古文研究法34-1 土佐日記:八木の康則といふ人あり。この人、国(土佐国を指す)に必ずしも言ひ使ふ者にもあらざなり。これぞ、たたはしきやうにて(むま)のはなむけしたる。

八木康則という人がいる。この人はなにも土佐国の役所で召し使っている者でもないようだ。しかしこの人が立派なさまに我々の送別会をしてくれた。

N君:「あらざるなり」の「る」が省略されて「あらざなり」となっています。形容詞「たたはし」は「満ち足りている」「威厳がある」の意。「むまのはなむけ」は、餞、とも書いて「送別会」の意味です。餞別の餞、ですね。

There was a man named Yagi-no-Yasunori.  Probably he was not one of the official servants of Tosa PrefectureNevertheless he gave a magnificient farewell party for us.

S先生:第2文末のPrefecture がどうでしょうか。県ができたのは明治以降ですから、平安中期のこの場面では Province くらいで良いと思います。第3文冒頭の Nevertheless「にもかかわらず」はちょっと硬い感じがするので、普通に But でよいと思います。

A man called Yagi-no-Yasunori, who was probably not a government official of Tosa Province, kindly gave a gorgeous farewell party for us.

今日のところは軽い内容だったので久し振りに英作談義をしましょうか。ここのところ懸案になっている「仮定法」について考えてみましょう。話の順序として、(1)仮定法ではない普通の条件文、(2)仮定法の文、の区別をしなければなりません。(1)の場合は「もしAならばBだろうな」という普通の仮定を表します。使う動詞の形は普通ですが「たとえ if 節の中身が未来のことでも will なんか使わずに普通の現在形でいこうね」というカワイイ規則があるにはあります。このことは中学生でも知っています。If it is fine tomorrow, we will go on a picnic.「もし明日晴れならピクニックにいく」は、仮定法でも何でもない普通の条件文です。明日天気が良いかどうか分からないけれどももし良ければ、と言っています。何の変哲もない。何のひねりもありません。一方(2)では突っ込んだ仮定現実には not A なのだがもしもAだったらBなんだがなあ」が表現されます。使う動詞の形は普通ではありません。If it were fine, we could go on a picnic.「実際は雨なのだがもし晴れなら今頃ピクニックに行けてるのになあ」。現在のことを突っ込んで仮定する時に過去形を使い、その影響が主節の動詞の形にも及んでいますね。この仮定法は現在の事を言っているのに、使う動詞の形が過去形なので、「仮定法過去」と呼ばれていて、この呼び方がさらなる混乱を生んでいます。(1)(2)のことが少し分かったところでもう一組の例文を挙げてみましょう。(1) If you are accepted by Tokyo University, your parents will be very happy.「もし君が東大に受かったらご両親は嬉しいだろうね」。これは普通の条件文です。(2) If you were accepted by Tokyo University, your parents would be very happy.「実際は落ちているんだけれども、もし受かっているとしたら今頃ご両親は喜んでいるだろうね」。これは仮定法過去で、現在のことに対する突っ込んだ仮定を表現しています。

さてエンジンもかかってきたところで「仮定法の各論」に入りましょう。時制によって、仮定法現在、仮定法未来、仮定法過去、仮定法過去完了、の4種類があるので、ひとつづつ見ていきましょう。

(3) 仮定法現在:まずは英国国家 The National Anthem of the Great Britain を見てみましょう。God save our gracious Queen !  Long live our noble Queen !  God save the Queen !  Send Her victorious, happy, and glorious !  Long to reign over us !  God save the Queen !「神よ、守り給え、我らが恵み深き女王を。我らが気高き女王が長命であらせられますように。神よ女王を守り給え。女王に勝利と幸せと栄光を与え給え。永きにわたり我らを治め給うために。神よ女王を守り給え。」 Send の前には God が省略されており、この Send を Make に置き換えて理解してください。さてこの英詩、変だと思いませんか? そう、saves ではなくて save になっています。同様に lives ではなくて live になっています。祈願文においては現在では may を使うので問題ないのですが、昔は祈願を表現するのに動詞の原形を使っていました。これが「仮定法現在」という訳です。同じような例を挙げてみましょう。現代文では May you be happy.「お幸せに、お元気で」と言いますが、もっと簡単に言えば Good-bye。その Good-bye の語源になったのが God be with ye(youのこと). 「神があなたと共にありますように」ですが、これこそが昔の祈願文であり、ここに仮定法現在の用例を見ることができます。is ではなくて be が使われていることに注目して下さい。さて第581回にも触れた It is natural that he say so. において、says ではなくて say が使われているのが、我々がよく目にする仮定法現在でしょう。以上のように仮定法現在は、祈願文で使われる動詞原形や、581回で説明した It ~ that ~ 構文の that 節内に使われる動詞原形に、その用例を残している、と理解しておいて差支えないと思います。

(4) 仮定法未来:普通の条件文においては if 節の中身はたとえ未来のことでも現在形で書こうね、という可愛らしい規則があったにもかかわらず、もしも If 節の中に変な形の助動詞があったら、それは普通ではないよね、という話になります。例を見てみましょう。If I should die, please offer my heart to someone who needs it.「今僕が死ぬかどうか分からないけれども万が一死んだら、心臓を必要な誰かにあげて下さい」。未来の、突っ込んだ、仮定ですね。If you would kindly do so, I should be much obliged.「もしそうしていただけるのならとても嬉しいです」。してくれるかどうか分からないけれども、もしそうしてくれるのなら、という意味です。これはもはや仮定法未来というよりも丁寧表現と考えたほうがよいかもしれません。If the sun were to rise in the west, I would never break my promise.「もし太陽が西から登っても僕は約束を破らない」。この If 節内にある were to do は、未来のあり得ないことを仮定する時の決まった言い方です。ここまで見て来た (3)(4) は仮定法の中でもかなりマイナーな部分を占めており、ある程度使う場面が限定されていて、一部は慣用表現と化している、という側面もありますが、以下に示す (5)(6) は仮定法もメジャーな部分を占めているので、じっくり考えて理解しながら進んで下さい。

(5) 仮定法過去:現在に事実に反する願望・仮想を表現します。色々な例を見てみましょう。My close friend is dead.  I wish I were dead myself.「親友はもう死んでいる、私も死んでいればいいのに」。事実として私は今も生きているのですが、死んでいればいいのになあ、と言っています。It is time you went to bed.「寝る時間だよ」。should go の代わりに went を使っています。とっくにベッドに入っていなければいけない時刻なのに、事実として you はまだ起きている、そのことを謗るようなニュアンスを感じますね。You speak as if you knew everything.「何でも知っているかのように話すね」。事実として you は全てのことを知ってもいないくせに、まるで知っているかのように話すね、と言っています。Even if I knew the secret, I would not tell it to you.「たとえ知ってても君には伝えないよ」。その秘密について僕は全く何も知らない、というベースがあって、その上で、たとえ知っていても言わないよ、と主張しています。以上のように「現在の事実に反する仮定をしたい時に if 節内の動詞が過去形となる」のが仮定法過去です。

(6) 仮定法過去完了:過去の事実に反する願望・仮想を表現します。これも色々な例を見てみましょう。How I wish I had known the fact much earlier !「そのことをもっと早く知っていたらなあ」。知らなかった、という事実がベースにあって、もしあの時知っていたらなあ、と嘆いています。If he had married her, he would have been happier.「もし彼女と結婚できていたらもっと幸せだったのになあ」。その昔彼女と結婚しなかった、という事実がベースにあって、もしあの時結婚していたらなあ、と嘆いています。さてこの文の主節については If he had married her, he would be happier.「今頃もっと幸せなのになあ」と変化させる余地がありますね。この(5)(6) が理解できたら仮定法についてはまずまずO.K.というところですが、仮定法の注意点についてさらに解説します。

(7) 仮定法の注意点 その1:仮定法は時制に左右されません。

He says that if I studied harder, I should pass the exam. 私が怠けている、という事実をベースとして、「もっとやれば受かるのに」と彼が言っている、のです。

He said that if I studied harder, I should pass the exam. 私が怠けている、という事実をベースとして、「もっとやれば受かるのに」と彼が言った、のです。

He says that if I had studied harder, I should have passed the exam. 私が昔怠けていた、という事実をベースとして、「もっとやっておけば受かったのに」と彼が言っている、のです。

He said that if I had studied harder, I should have passed the exam. 私が昔怠けていた、という事実をベースとして、「もっとやっておけば受かったのに」と彼が言った、のです。

(8) 仮定法の注意点 その2 :仮定法未来と仮定法過去では倒置によって if が省略されることがあるので気を付けて下さい。

Should it rain tomorrow, I would stay at home.「明日の天気は分からないがもし万が一雨なら、僕は家にいます」。If it should rain tomorrow, の If が省略されて Sould が前に出ていますがこれは疑問文ではなくて、一種の強調だと考えて下さい。また主節の方ですが、I would stay at home. でも I will stay at home. でも通用します。決まり通りキッチリ書きたいなら would でしょう。

Had he confessed the truth, he would have been forgiven.「彼は本当のことなど言わなかったけれども、もしあの時真実を告白したら許されていただろうに」。If he had confessed the truth, の If が省略されて Had が前に出ていますが、これも疑問文ではなくて一種の強調です。なお主節のほうは Had he confessed the truth, he would be forgiven.「あの時真実を告白していたら今頃許されているだろうに」と変化する余地を残しています。

(10)まとめ:色々と言ってきましたが要するに「仮定法というのは、”突っ込んだ仮定"を表したいがために、その”普通でなさ”を”普通でない動詞の形"で表している」ということです。