kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第307回 2022.1/19

帚木65:(左馬頭の言葉続き)常は少しそばそばしく心づきなき人の、をりふしにつけて出でばえするやうもありかし」など、くまなきもの言ひも、いたくうち嘆く。

だから、普段は多少不愛想でとっつきが悪いような感じの女のほうが、いざ事がある時には、ぐっと水際立った処理をして、感心させてくれるということもあるんだろうと思いますね。」 まったく左馬頭の弁舌は隅々まで行き届いていたけれど、しかし結局、結論となれば、どういう女がいいとも定めかねて、左馬頭は大きなため息をついてまた論じ続ける。

N君:左馬頭の長い長いセリフがようやく終わったかに見えたのですが、どうやらまだまだ続くらしい。まったくよくしゃべる男です。

So a woman who usually looks surly seems more reliable than an aminable one.  The former sometimes move us by dealing with challenges."  Samanokami's eloquent speech included all the points of how to choose a good wife.  However, he could not conclude the definite figure of an ideal wife after all.  Sighing heavily, he went on speaking.

S先生:だいたい良いのですがまだ硬さが残っている部分があります。第1文の surly は 「むっつりしていて不機嫌な」という意味の形容詞ですね。surely と混同しないように。第2文の challenge は挑戦ではなくて「難題」の意ですね。私は多くの生徒を見てきて、challenge を「挑戦」ととらえているうちはまだまだで、「難題」ととらえることができるようになった時が一皮剥けた時だと感じています。そういう意味ではN君はすでに一皮剥けているようです。第3文の eloquent speech ですが eloquence という具合に一語にまとめましょう。少しでも簡潔に、という精神です。第4文の the definite figure of は硬さが出たね。確かにこれで意味は通るのですが、コテコテで、岩にゴッツンと頭をぶつけた感じがします。この部分を who was に変えてみてください。超理系のN君が文系科目で良い点を取れるかどうかは、どうもこのあたりにかかっているのではないでしょうか。

In my opinion, a blunt wife, who is usually hard to deal with, might be helpful in time of need."  Sama-no-Kami's talk covered almost everything, but he seemed to find it difficult to come to a conclusion as to what kind of wife was the best.  He sighed deeply and went on talking again.

N君:blunt は「先端がとがってなくて鈍い」の意かと思っていましたが「ぶっきらぼうな」≒ surly の意もあることを初めて知りました。

S先生:今日は短く終わったのでちょっと雑談をしましょう。最近テレビでコロナウイルス関係のニュースを見ていたら、お医者さんが「ウイルスの host としての人間」という言葉を使っていたので、host について調べてみました。host というと新宿歌舞伎町のホストクラブにいるかっこいい男性を思い浮かべますが、要するに「客をもてなす主人」という意味ですね。コロナの場合は、ウイルスがお客さんで、感染を受ける人間が host というわけでしょう。大修館の辞書を見ると「宿主」という医学用語が出ていました。辞書をさらに読み込んでいくと、もう一つ別の host があることが分かりました。ラテン語の hostis「敵」に由来する host です。その意味は「敵」→「軍勢」→「大勢」であり、例文として The youth have a host of possibilities.「若者には多くの可能性がある」が出ていました。host と語源的なつながりがあるかどうか分からないのですが、hostage「人質」という単語がありました。これは最近の国際情勢を語る論説文などに時々出て来る重要語ですから、N君もこの機会に是非とも覚えましょう。この hostage の項に面白い熟語を見つけました。give hostages to fortune「自分の将来の運勢に対する人質を与える」すなわち「妻子を持つ」の意だそうです。意味深ですね。このようにして、ちょっと気になる単語から出発して「辞書を読む」→「日記帳に付ける」という作業は英語学習のひとつの型です。自分に合う場合と合わない場合がありますが、試してみる価値はあるでしょう。