2021-08-27から1日間の記事一覧
帚木75・76:(左馬頭の言葉続き)心深しや、など、ほめたてられて、あはれすすみぬれば、やがて尼になりぬかし。思ひ立つほどは、いと心すめるやうにて、世にかへり見すべくも思へらず。 そういう女は、家出したことについては、よくもここまでご決心なさった…
帚木72・73・74:(左馬頭の言葉続き)わらはに侍りし時、女房などの物語り読みしを聞きて、いと哀れに悲しく心深きかなと、涙をさへなむ落とし侍りし。今思ふには、いと軽々しく、ことさらびたる事なり。心ざし深からむ男をおきて、見る目の前に辛き事ありと…
帚木70・71:(左馬頭の言葉続き)うしろやすくのどけき所だに強くは、うはべのなさけは、おのづからもてつけつべきわざをや。艶に物恥じして、うらみ言ふべきことをも見知らぬさまにしのびて、うへはつれなくみさをづくり、心ひとつに思ひあまる時は、言はむ…
帚木66・67・68・69:(左馬頭)「今はただ品にもよらじ。かたちをばさらにも言はじ。いとくちをしく、ねぢけがましきおぼえだになくは、ただひとへにものまめやかに、静かなる心のおもむきならむよるべをぞ、つひの頼み所には思ひおくべかりける。あまりのゆ…
帚木65:(左馬頭の言葉続き)常は少しそばそばしく心づきなき人の、をりふしにつけて出でばえするやうもありかし」など、くまなきもの言ひも、いたくうち嘆く。 だから、普段は多少不愛想でとっつきが悪いような感じの女のほうが、いざ事がある時には、ぐっと…