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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第266回 2021.12/9

帚木1:光る源氏、名のみことごとしう、言い消たれ給ふとが多かなるに、いとどかかるすきごとどもを末の世にも聞き伝えて、かろびたる名をや流さむと、しのび給ひける隠ろへ事をさへ、語り伝えけむ人のものいひさがなさよ。

光源氏と名ばかり厳めしいのだが、実際にはその光も打ち消されかねないような感心しない行状が多かったように評判されていた。しかしそのような色好みのあれこれを後の世にまでも喧伝されて、軽率な人だという悪名を流されては一大事だと源氏は思っている。だから、そのように注意深く包み隠しているみそかごとまでも、こうして語り伝えてしまおうとする人の、なんと口の悪い事であろうか。

N君:さて今日から第2章 = 帚木 に入りました。まず第1章 = 桐壺 を summarize しておきます。帝と気の強い弘徽殿女御との間には第1皇子 = 皇太子 がいたのですが、帝は身分の低い桐壺更衣を寵愛して第2皇子 = 光源氏 が誕生しました。桐壺は弘徽殿一派のいじめにあって早くに亡くなり、その面影を追う帝は新たに若い后 = 藤壺 を寵愛するようになります。元服した光源氏左大臣娘(葵の上)と政略的な結婚をさせられるが、彼は左大臣娘には興味がなく、母の面影を宿す年上の藤壺を慕い始めた、、、という所です。今日から始まる帚木は、なにか具体的な事件が起きたという訳ではないのですが、「若い源氏が同僚の中将とともに、雨の夜一夜を明かして"女性論”をかわす」という設定になっていて、俗に「雨夜の品定め」などと呼ばれている章です。さて帚木冒頭の今日の部分は、作者紫式部の自虐文になっています。

Although you know that the name of "Hikaru Genji" was too solemn, it was actually said that lots of his bad behavior could disgrace the graceful name.  He considered it as a serious matter that his love affair might be written down toward the descendant age and the discription could give him a notorious reputation as an inprudent man.  Therefore, if there were a person who was meant to pass down such secret tales regarding Genji, how mischievous he or she would be !!

S先生:第1文末の disgrace the graceful name は grace が重なっていていけません。英語は意味が通じていればよいというものでがなく、このような反復を避けるように気を付けて下さい。難しい事ではなく、たとえば graceful を elegant に変えてみてはどうでしょうか。第2文の be written down toward the descendant age は気持ちは分かるのですがやや大仰な感じを受けますので、live in history くらいに簡潔にまとめてはいかがでしょうか。さて次の第3文が大切です。そもそも S+mean to do「Sは~するつもり」という言い方があって、それにひねりを加えた言い方として S+be meant to do「Sは~しなければならない、~する運命だ、~するようにまわりから意図されている」があるのであって、この言い方はいわば S+be supposed to do と同じような意味です。今回の場合は「源氏の悪い風聞を後世に書き伝えようと意図する人がもし居るなら」の意ですから、be meant to do ではなくて mean to do を使うべきです。過去形なので meant to do でもよいのですが、主語の意志を入れて would mean to do にしてみてはどうでしょうか。結局この部分は who would mean to pass down,,,,,,ということになります。最後の mischievous「いたずらな」は少し違うと思います。wicked「悪意のある」くらいでどうでしょうか。

Though "the Shining Genji" was too solemn a name, the unfavorable rumor was spreading that he was absorbed in love affairs, which might disgrace his shining name.  But Genji thought it shameful to have such a bad reputation forever that he had been an imprudent and lascivious man.  How malicious were those who would pass down his secret affairs from generation to generation.

N君:第2文の形容詞 lascivious「みだらな、好色な」は僕の辞書には載ってませんでした。問題となった mean to do は、先生の作文では simple に意志の will が使われているだけだったので拍子抜けしましたが、このように簡潔に作文するのがいいのだな、と思いました。この他にも from generation to generation など多々思うところがありました。第3文は How+形容詞+V+S となっていて、普通の感嘆文とはSとVが逆になっているのですが、これでよいのですか?

S先生:感嘆文の語順とはよい所に気付いたね。英語は前重後軽を嫌い、前軽後重を好みます。この原則のほうが文法より上にある、ということでしょう。Sが重いので後に置いたということです。このようなことは今後どんどん現れるでしょう。たとえば第5文型 SVOC の O が重くて C が軽い場合には SVCO の語順になることもありますから驚かないようにしておきたいですね。