kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第257回 2021.11/30

桐壺197:おとなになり給ひて後は、ありしやうに、みすのうちにも入れ給はず、御あそびの折り折り、琴笛の音に聞こえかよひ、ほのかなる御こゑを慰めにして、内住みのみ好ましうおぼえ給ふ。

しかし今元服を済ませた身になっては、もはや帝も以前のように御簾の内には入れては下さらない。せめて管弦のお遊びの折々に、藤壺が琴を奏するのに合わせて源氏が笛を吹く、その楽の音で微かに思いをかよわせ、またほんのりと漏れ聞こえる藤壺の声を聞くことでかろうじて心を慰めているばかりであった。だから源氏にとっては、藤壺の起居する内裏に自分も居るということばかりが好ましいことに思えるのであった。

N君:主語の省略っぷりがすごいです。源氏 → 帝 → 源氏+藤壺 → 源氏 という具合になっています。また「御こゑ」は誰の声なのか、そういうことまで問題にし始めると何が何だかわからなくなります。こういうことへの強い違和感があるかないかが理系と文系の境になると僕は思います。理系の人は「伝えたいことがあるのならはっきりと書けばいいのに」と思うでしょう。僕もそう思います。

Now that he had finished the ritual for stepping into the range of adults, the Emperor would no longer allow him to come into His sacred area secluded by a bamboo curtain as before.  In some occasions of music performance, he could just adjust his flute to Fujitsubo's koto.  He was consoled by what little her sympathy felt in the accompaniment and what little her soft voice heard through the curtain.  Therefore he felt it favorable to be in the Imperial Palace, where she also is, instead in the Minister's house.

S先生:今日は直しがたくさんあります。総論としては「全体的に暑苦しいのでもっと簡潔な表現を心がけよ」ということです。では各論に入ります。第1文の stepping into the range of adults はなかなか工夫した表現でたぶん通じるとは思うのですが、もう少しカッチリと his attainment of adultfood くらいが好ましいと思います。attain は「達成する、到達する」の意です。第2文の ajust his flute to ~ ですがこれは「馬から落馬、屋上屋を重ねる」の類です。前置詞 to の中にすでに「~に合わせて」の意味が込められているので動詞に adjust を使うのはいけません。単に play でよいです。また主語に he があるので play の目的語を his flute とせずに単に the flute とするのが良いでしょう。まとめると play the flute to ~ に変えましょう。第3文に出て来た what little ですがこれは「なけなしの」の意で、He gave me what little money he had. のように使います。今回の場合、源氏が藤壺と交わした音楽上のシンパシーや、御簾の内から聞こえる藤壺の声は、たしかに微かなものでしょうが「なけなし」とは異なります。したがってここは what little を使うべき場所ではありません。もうすこし気楽に考えましょう。第4文の関係副詞節 where she also is, ですがここは be 動詞よりも一般動詞がよいし、主節が過去形なのだからここもそれに合わせるべきで、where she lived, にしましょう。also は不要です。最後の instead in the Minister's house. ですが、まず in より at のほうがよいのですがそれはまあ許せるとしても、副詞 instead は文尾に置くべきで、at the Minister's house instead. とするのが良いと思います。例文を挙げておくと、If you cannot go, let him go instead. のように使います。ちなみに、どうしても前に置きたければ instead of staying at the Minister's house. とういように使うと良いでしょう。今日はたくさんありましたが、それぞれに作文上の大切な問題を含んでいるので、自分なりによく考えなおしてみて下さい。

Now that he had had his coming of age celebrated, he was not permitted to enter the room behind the bamboo curtain as he had been before.  On evenings when the Court music concerts were performed, all he could do was (to) play the flute to Fujitsubo's koto, convey his longing for her by the sound, and solace himself by listening to her soft voice from inside the curtain.  Staying at Court, where Fujitsubo lived, was more satisfying than anything else to him.

N君:全体的にスッキリした感じを受けました。第1文は have+O+pp の形ですね。第2文は to を省略されたら混乱しそうですが、こういうところは省略されることがあるのですね。solace oneself by ~「~で自身を慰める」は初見でした。console は知っていましたが solace は穴になってました。from inside the curtain のように、前置詞の目的語が名詞ではなくて副詞句になっている用例をたまに見ることがあって違和感を覚えていたのですが、このように使ってOKなのですね。今後使ってみたいです。