古文研究法138-3 新古今集より:山深み春とも知らぬ松の戸に たえだえかかる雪の玉水
奥深い山里なので春になったとも知らずに住んでいるが、松の木で作った戸に、雪解けの水が雫となって落ちてくるので「ああ春になったなあ」と感じられる。
N君:「名詞+形容詞語幹+み」は「名詞が~なので」であって、百人一首No.1天智天皇「苫をあらみ」が第423回に登場しました。
Leading a quiet life in a deep mountain, I cannot know spring has come. Today, however, I saw the drops of melted snow dripping down on the door made of pine boards. Really has spring come here !
S先生:第1文の cannot know がいけません。英語においては know と助動詞 can とは決して結びつきません。よって can know とか cannot know のような使い方は無いと考えてもらってよいです。ここでは don't know に替えましょう。漢文などでよく「~を知ること能(あた)わず」なんていう読み下し文があって、これを英訳する時についつい cannot know なんてやってしまうのですがこれは誤りだと認識しましょう。普通に don't know でOKです。第3文では強調目的で副詞 really を冒頭にもってきたために助動詞 have も一緒に前に出た形になっています。これで良いと思います。
I live a tranquil life in a deep mountain village even without knowing the arrival of spring. This morning, however, seeing melted snow dripping down om the door made of pine boards, I felt very happy that the long-awaited spring had come at length.
N君:先生の第2文末 at length は at last と同じと考えてよいですか?
S先生:よいです。どちらかというと at last はポピュラーで at length は少し硬い。