kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第639回 2022.12/16

古文研究法67-4 古今集:嬉しきを何に包まむ唐衣(からごろも)(たもと)豊かに裁(た)てと言はましを

嬉しさが大変な分量で何に包んだらよいのか分からない、袂に入れようとしても狭くて入りきらない、こんなことだったら縫ってもらう時、ゆっくり広く裁断してくれと注文しておけば良かったなあ。

N君:この歌には参りました。前半の「嬉しさを何に包まむ唐衣」までは分かるのです。作者はなにかとても嬉しいことがあったんだなあ、と想像できるのです。でも後半部「袂豊かに裁てと言はましを」が分かりません。袂? 何の関係があるの? と僕は思いました。訳文を読んでビックリ仰天しました。理系人間の僕にはどうやら想像力が欠けているようです。センター試験や共通テストの現代文なんかを読んでいると、何のことやらサッパリ分かりませんものね。今回の歌を読んで、そうか文系の人たちというのはこういう所を大切にするんだなあ、とちょっぴり分かりました。

Pleasure is so much that I do not know a suitable stuff which can wrap it.  Contrary to my intent, it is too large to put into my sleeves.  I regret the clouded perspective of mine : I should have ordered sewers to cut out the sleeves of my clothes in a bigger size.

S先生:だいたい良いのですが、全体的に硬い感じがします。特に第3文の the clouded perspective of mine「私の曇った見通し」は硬い。パッと見て意味を取りにくいです。my poor foresight くらいでどうですか?

I am so happy that I don't know what I shall put this happiness of mine into.  My sleeves are too small to put it into.  How poor-sighted I was !  I should have asked to have my kimono sewn more loosely.

N君:先生の第2文は My sleeves are so small that I can't put it into them. としてもOKですか?

S先生:これは良い質問です。結論をいえばOKです。この二つの言い方をじっくりと比べてみましょう。私の作文は My sleeves are too small to put it into. でしたね。この不定詞には微かに否定の意味が含まれていることを感じて下さい。さらに文末の into の後には何も目的語がありませんね。目的語がなくてもここに sleeves が隠れていることは分かります。一方N君の言い換えをもう一度書きますと My sleeves are so small that I can't put it into them. となっていて、前置詞 into の目的語 them = sleeves がちゃんと書かれています。学校の定期テストのレベルではこのようなことが頻繁に問われるでしょう。これまで私も長年に渡ってこういう問題を作ってきましたからね。