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文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第581回 2022.10/19

古文研究法31-2 大鏡:また播磨(はりま)の国におはしまし着きて明石の駅(うまや)といふ所に御宿りせしめ給ひて、駅の長(をさ)のいみじう思へるけしきを御覧じて作らしめ給へる詩(からうた)いとかなし。「駅長無驚時変改 一栄一落是春秋」「駅長驚く無かれ時の変改するを 一栄一落は是れ春秋」

道真様は播磨国に御到着になり明石の駅にお泊りになったが、そこで駅長が道真様のことを大変気の毒に思っている様子を御覧になって、漢詩お作りになったのだがそれはたいそう悲しいものであった。「駅の長よ、この激しい移り変わりにも驚いてはいけない、ある時には栄えある時には散り萎れるというのが春秋の移り変わりであり人生の姿でもあるのだから」。

N君:「御宿りせしめ給ひて」「作らしめ給へる詩」に出てくる「しめ」はどちらも尊敬を表しています。使役ではありません。前回にも同じものが出ました。「けしき」は「様子」くらいの意味です。

Then he reached Harima and stayed overnight in the Akashi station.  There he saw the stationmaster feel sorry for the unreasonable treatment against him.  His despondent look promoted Lord Michizane to compose a sad Chinese poem : "Stationmaster, you don't have to be startled by my unexpected change.  It is natural in this world that a man enjoys his thriving days at a time but he must accept his decline at another time."

S先生:大変良く書けていますが歌の中の enjoys がいけません。ここは第578回にも言ったように should enjoy とすべきです。あるいは should を省略して enjoy という原形を残すやり方でもよいです。It is natural that ~ の構文に出てくる that 節の中身に気を付けて下さい。It is natural that she (should) say so. のようになります。このほかにも、命令・提案・要求・意図などを表す動詞や形容詞の後の that 節の中で、英国においては should を使うので間違いは起きないのですが、米語法においては should が省略されて動詞原形が残るので、混乱の原因になってしまうのです。例を挙げておきます。He ordered that she (should) go there at once.  He suggested that she (should) stay there another day.  She demanded that he (should) never leave her alone.  She does not intend that he (should) do it.  It is necessary that he (should) prepare for the worst.

When he reached Harima, he stayed overnight at a stage of Akashi.  The head of the stage seemed to be very sorry to see Lord Michizane put in a miserable situation.  Appreciating his sympathy for him, Lord Michizane composed a Chinese poem : "My dear Head, our lives will change suddenly.  You don't have to be surprised at it.  As flowers bloom magnificiently in spring and wither away in autumn, so life is full of ups and downs.  This is how things go in this world."

N君:S先生の第1文・第2文に出てくる stage は僕の感覚では「段階」「舞台のステージ」みたいな感じでしたが、今回辞書を引いてみて「駅、宿場、旅程」のような意味があったことを初めて知りました。研究社の辞書には travel by long stages「ゆっくりとした旅をする」という例文が出ていました。それから漢詩の冒頭で our lives will change suddenly という文が出ましたが、この will はただ者ではない気がします。

S先生:この will は単純な未来を表しているわけではなく、現在の習性「~するものだ」を表しています。よく気付いたね。このあたりの感度が上がってくると英語も楽しくなりますね。

N君:僕の作文でも S先生の作文でも、登場人物が男二人(道真と駅長)であるために、指示代名詞が重なって分かり難くなってしまう場面があります。これはこのままでOKなのでしょうか?

S先生:この問題は英語にはつきもので色々な場面で出くわします。本文の場合は「この his が道真であの his が駅長」なんていうことが明らかなので、特に問題はなくてこのままで良いでしょう。いろいろな英文を読んでいると、ややこしくて区別がつかないような酷い例もありますから、今回の作文は全く問題ないと思います。