kn0617aaのブログ

文系科目ダメダメな中高生・浪人生のための英作文修行

オリジナル勉強風呂Gu 第535回 2022.9/4

古文研究法1-1 枕草子:梨の花、世にすさましくあやしきものにして、眼近く、はかなき文つけなどだにせず、愛敬(あいぎゃう)おくれたる人の顔など見ては、たとひに言ふも、げに、その色よりしてあいなく見ゆる唐土(もろこし)に、限りなきものにて、文にも付くるなるを、さりともあるやう有らむとて、せめて見れば、花びらの端にをかしきにほひこそ、心もとなく付きためれ。

梨の花はたいそう面白味が少なく品もない、というわけで、親しく取り扱ったりもしないしちょっとした手紙を付けてやったりなどもしないし、可愛げのない人の顔を見て例えに持ち出したりするのも、まったくその色からし感心できないように見えるのだが、それを中国ではたいそうなものとして詩などにも詠むと聞き及んでいるが、それを、だけれど、なにか訳でもあるのだろうと思ってよくよく見てみれば、花びらの端に趣のある色がほんのわずかに付いているようだ。

N君:さあ始まりました。昭和30年頃に受験生のバイブルであったという小西甚一先生の「古文研究法」です。怖いもの見たさでやっていきます。トップバッターは清少納言のちょっとすかしたエッセイからの出典です。しょっぱなから重要事項満載でした。(1)形容詞・副詞では「すさまじ(興覚めだ)」、「あやし(品がない)」、「あいなし(感心しない」、「せめて(よくよく)」などが出ました。(2)文法的事項としては、「逆接の助詞【を】」がふたつ出ました。伝聞推定の助動詞「なり」もあります。すぐ前が終止形なので断定ではなくて伝推だとわかります。文末の「ためれ」は「たるめれ」の音便形です。(3)語法的な事項として最重要なのは小西先生言うところの「ならびの修飾」です。「眼近く、はかなき文付けなどだにせず」を「近くで見もしないし、手紙を付けたりもしない」と訳しているところが注目です。「などだにせず」という結論に対する連用修飾句が二つある形です。もっと分かり易い例では「いと匂ひやかに、美しげなる人」というのもあります。(4)このほかに「愛敬おくれたる人(不美人)」というのも出ました。

Generally speaking, we Japanese don't care for pear blossoms.  Because they hardly have a refined elegance, we don't deal with them favorably nor use it as a smart utensil with which we send a love letter.  The dull tint of the flower is compared to a plain woman.  In China, however, people seem to think highly of it.  Chinese poets have depicted the flower in their works.  Why have they loved it so much ?  Supposing that they have some reasons good enough to appreciate it, a slightly graceful color may be found on the edge of its petal when it is examined carefully.

S先生:だいたいの構成は良いですが細部には色々な問題があります。まず flower と blossom の違いをはっきりさせましょう。flower は「草の花」、blossom は「果樹の花」です。第1文では blossom が使われていて良いですが、第3文・第5文は flower になっていますね。ここも blossom に統一しましょう。第2文の nor 以下が理屈っぽくて硬い。utensil は用具の意味なのでここにはふさわしくありません。簡潔に send a love letter together with them にしましょう。第7文冒頭の Supposing that は大仰な感じがします。簡潔に If でよいと思います。さてこの節の中に登場した some reasons が大問題でした。some reasons「いくつかの理由」、some reason「なにかの理由」ですが、ここでは後者が正しいでしょう。全体的に冗長な感じを受けるのでもっと「締まった文章」を書くように心がけましょう。それは英単語やイディオムの問題というよりもむしろ、全体的な論理構成という面が大きいと思います。よく考えて、無駄を省き、論理的な構成で、英文を書くように心がけましょう。

We don't value pear blossoms nor send a love letter together with it, for they do not seem to be elegant and graceful.  Their color is so poor that we are often inclined to compare them to plain women.  In Tang, however, we hear they make much of pear blossoms and write poems about them.  If they cherish them so much, there must be some reason for it.  When we examine them carefully, we certainly find a faintly tasteful color on the tips of their petals.